「1日大さじ1杯で若返り」する「あの油」の効能とは? 「加熱調理はしないように」「運動のやり過ぎは要注意」

ドクター新潮 ライフ

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飲酒との関係は……

「1日1時間のウォーキングを毎日はちょっと」という人は、1日30分・週3回を目標にウォーキングを取り入れてください。これを1カ月継続するだけでも、DEL-1は増えます。アマニ油にしろウォーキングにしろ、DEL-1は元々少ない人ほど変化が大きく出るため、年を重ねている人こそ取り入れる価値があります。肝心なのは継続すること。運動が苦手で三日坊主になりそうな人は、アマニ油の方が気軽かもしれません。私自身、みそ汁にアマニ油をかけて取っています。料理の味をあまり邪魔せず、毎日続けやすいです。

 ほかにも、日々の生活の中で今すぐ意識したいことがいくつかあります。

 まず大敵なのがストレスです。過度なストレスは肥満や睡眠不足を招くだけでなく、DEL-1そのものを減らす方向に働きます。ちなみにストレスは精神的なものだけでなく、ハードワークや激しい運動をしてもかかります。あるライターさんは、毎日ジムで1時間のトレーニングを行い、月間100キロを超えるランニングもしていたため「自分はDEL-1の数値が高いはず」と思っていたそうです。しかし、唾液で測定すると低くも高くもない数値でした。試しに運動を週2~3回、1回30分程度の“ほどほどの内容”に変えたところ、1カ月後、数値が見事に上昇していました。激し過ぎる運動がストレスとなり、DEL-1を減らしていたのかもしれません。

 体に悪いイメージの強い飲酒は、DEL-1の数値に関してはそれほど直接的な影響を与えないという意外な研究結果が出ています。ただし、もちろん飲み過ぎはよくありません。

共通するのは「若々しい見た目」

 同じ年代でも、日頃の生活習慣が違えば体内のDEL-1の量に差がつきます。また、加齢とともにDEL-1は減っていきますが、「若い=DEL-1の量が多い」と単純には言えません。以前、あるテレビ番組出演時に番組スタッフのDEL-1を測定したところ、20代のADさんの数値は40代後半相当。聞けばバランスの取れた食生活とはほど遠く、ご本人も納得の様子でした。一方、ウォーキングを日課にし食事にも気を配っている60代、70代、80代の方の中には、マイナス10歳レベルの高い数値を維持している人もいます。共通するのは、実年齢より若々しい見た目をしているということです。男女の比較では、女性の方が男性よりDEL-1の量が多い傾向にあるというデータが出ていますが、これは性ホルモンの差というより、食事や体調に気を付けている人が女性に多いことが関係していると考えています。

 DEL-1と病気の関わりは骨粗鬆症や歯周病だけにとどまりません。成人の5人に1人が該当し、高齢者に多い慢性腎臓病。また、関節炎、失明リスクのある加齢黄斑変性、神経難病の一種である多発性硬化――。これらとの関わりを示すデータも集まりつつあります。骨粗鬆症・歯周病については、マクロライド系抗菌薬(一般的な抗生物質の一つ)がDEL-1を増やすことを確認済みで、治療薬の開発にも着手しています。ただ「薬」は、その病気の人だけが対象で、健康な人が気軽に使えるものではありません。それに対し日常生活での工夫は、薬ほどの効果はなくともいつでもどこでもできるのが利点です。今日から始めてみてください。1カ月後には「何か体が変わった」と感じているはずです。

前川智樹(まえかわともき)
日本歯科大学新潟生命歯学部先端研究センター客員教授。新潟大学歯学部歯学科卒業、同大学院医歯学総合研究科修了。米国ペンシルベニア大学リサーチアソシエート、新潟大学医歯学総合研究科高度口腔機能教育研究センター助教/研究統括機構准教授などを経て現職。DEL-1に関する研究を通じて、加齢性炎症、細胞老化、組織再生の関連を解明する先駆的な成果を発表し続けている、DEL-1研究をリードする日本の代表的研究者の一人。

週刊新潮 2026年9月17日号掲載

特別読物「老化細胞除去効果 『若返りタンパク質』を増やす『あの油』」より

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