「ココイチ高すぎる!」に込められた格差社会への怒り…CoCo壱番屋は“一億総中流”と“消費社会”のシンボルから様変わりしてしまった

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“CoCo壱世代”と“ヤフコメ世代”

 しかも、興味深いのは、初期の同店を支えた客層である。1993年の「フランチャイズビジネス」によれば、CoCo壱の客層は「10代後半から30代が中心で、男性が約7割を占めた」という。

 1980年代~90年代に10代後半~30代だった男性は、現在40代~60代ぐらいになっているであろう。

 そして、それはヤフコメに書き込みを行う中心的な世代でもある。

 2015年にヤフーが発表したブログによれば、ヤフコメの投稿者の80%以上は男性で、中でも30~50歳がその半数以上を占めるという。特に突出しているのが40代らしい。

 10年前のデータなので、現在はその傾向も変わっているかもしれない。ただし、これは筆者の感覚と大きくずれるものではない。私はYAHOO!エキスパートとしていくつかの記事をYahoo!に投稿しており、そこでは記事を見た性別と年齢層を見ることができるのだが、そこでのデータは、ここで述べられていることとおおかた一致している。

 とすれば、「昔のCoCo壱直撃世代」が、同時に「ヤフコメ中心世代」でもある、という見立てを作ることができよう。

 かつての「一億総中流」的なビジョンでCoCo壱を享受していた人々が、2020年代に「脱中流」となったCoCo壱に違和感を覚え、何かを書き込まずにはいられない……。そんなことが起こっているのではないか。

「中流の夢」ノスタルジー

 日本の郊外社会は、一億総中流の幻想を人々に見せながら、さまざまなチェーンストアを産んでいった。その寵児とも言える存在が、他ならぬCoCo壱である。

 しかし、そんな「中流の夢」が現代日本の経済状況に適合し、その姿を徐々に変え始めた。そして、かつてのCoCo壱を知る人々から、ある種のノスタルジーが噴出してきたのである。それが、ネットにあふれるCoCo壱番屋へのコメントとして現れた。だとすれば、CoCo壱へのコメントを書き込む人たちの批判の対象はCoCo壱ではなく、むしろここ30~40年ほどで様変わりした「日本」ということになるだろう。

 ところで、この記事もきっと、Yahoo!をはじめとしたサイトに転載されると思われる。さて、そのときの記事のコメントにはどのようなものがあるのだろうか?もし、そこにもやはり「CoCo壱高すぎる」という書き込みが散見されるなら、やはり批判の対象はCoCo壱そのものではなく、それを取り巻く「日本」へ向けられたものだといえるだろう。

 前編【なぜ人は「CoCo壱番屋」に物申したくなるのか…SNSが荒れる「庶民には手が届きません」批判のウラに“かつての熱心なユーザー”の存在】では、CoCo壱番屋の創業は1978年。第1号店が開かれたのは名古屋で、繁華街ではなく、郊外の西枇杷島町という場所に誕生したことに谷頭氏は注目する──。

谷頭和希(たにがしら・かずき)
都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。「東洋経済オンラインアワード2024」でMVPを受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)、『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

デイリー新潮編集部

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