壁に草が生い茂って“天空の城ラピュタ”状態…大阪を代表するバブルのあだ花「ふれあい港館ワインミュージアム」のヴィンテージワインはどうなった?
大阪・関西万博の会場になった夢洲に近い大阪のコスモスクエア地区には、ガラス張りのドームの中に巨大な木造の帆船が眠る「なにわの海の時空館」と、ワインの資料館だった「ふれあい港館ワインミュージアム」が現存しており、いずれも大阪を代表する廃墟として知られている。
いったいなぜ、大阪にこれほどの巨大な廃墟が誕生するに至ったのか。それは、バブル景気の時代から平成の時代にかけて、大阪が文化を重視し、その振興に巨額の資金を投じたためである。しかし、それらが支持されることはなく、文化政策はことごとく失敗に終わってしまったのであった。【取材・文=山内貴範】
【写真】“まるで古墳にしか見えない”“ディストピアのよう”一周回って見に行きたくなる「ふれあい港館ワインミュージアム」の風景
古墳のようになったミュージアム
ワインや食をテーマにした国際交流施設「ふれあい港館ワインミュージアム」は、フィリップ・ブランシェの設計で約59億円をかけて建設され、1995年に開館した。日本のワインの産地といえば山梨県や長野県、北海道などが頭に浮かぶ。したがって、なぜ大阪にワインの資料館なのかがそもそもよくわからないのだが、案の定入場者が伸び悩み、2008年に閉館。わずか13年の命であった。
筆者はスマートフォンのナビを頼りに向かったのだが、示された場所には草ぼうぼうの小高い丘があるだけだった。もう建物が取り壊されて、草むらになってしまったのだろうかと思ったら、違った。屋根や壁に草が生い茂り、世界遺産に登録された堺市の前方後円墳「仁徳天皇陵」の森のようになっていたのである。
現役時代は、斜面にブドウの木が植えられていて、収穫祭のようなことが行われていたらしい。しかし、今は草が茂ってしまい、どれがブドウの木なのかさっぱりわからない。元気な植物が完全に建築を支配しつつある光景は、「天空の城ラピュタ」のようだ。リニューアルして植物園にしてもいいかもしれない。
レアモノのワインはどうなった
建物は三角形の平面になっており、打ち放しコンクリートとガラスを多用した未来的なデザインになっている。現在の公共施設はシンプルな平面を好むが、バブルの頃は完全にデザイン重視で、現在何階にいるのかもわかりにくい迷路のような複雑な建築が多い。また、費用を惜しまずに丁寧な施工がなされたのか、今なおコンクリートの状態は良好だ。
ちなみに、現役時代は館内に貴重なワインが保存されていたという。コロナ騒動後、富裕層の間では現物資産の需要が高まり、ヴィンテージワインは驚くほど高値がついている。売りさばけば維持費が捻出できそうな気がしたが、よりによってリーマンショック後の低調な時期に、官公庁オークションで売ってしまったらしい。
当時の報道によると、売却されたワインは157本。そのなかには、「ロマネ・コンティ1921」や「シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ1868」など、マニア垂涎のワインが多数含まれていたという。開館時に購入したときの価格は一括で約565万円だったそうだが、今ならとんでもない値段がつくことだろう。
大阪は商売の街であるはずなのに、自治体関係者はどうもモノを売るのが下手なようである。なお、建物も2011年に約7億1000万円で売却され、専門学校の校舎に使われていた時期もあったが、コロナ騒動の間に休校。壁にはスプレーで落書きがされたままになっていることから、使われている様子はないようだ。
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