壁に草が生い茂って“天空の城ラピュタ”状態…大阪を代表するバブルのあだ花「ふれあい港館ワインミュージアム」のヴィンテージワインはどうなった?

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連鎖的に閉鎖と破綻が続く

 さて、「ワインミュージアム」の周辺からは、現在は「大阪府咲洲庁舎」となっている、かつての「大阪ワールドトレードセンタービルディング」が望める。これは約1193億円をかけて建設され、高さ約256mに達する、竣工時は西日本一の高さを誇った超高層ビルであった。東京では「東京都庁舎」が“バブルの塔”と揶揄されたが、その大阪バージョンといえる。

 1995年に竣工したものの、中心部から離れた不便な立地が嫌厭され、高額な賃料も影響してテナントの入居が思うように進まなかった。結果、程なくして債務超過に陥ることになり、2009年には会社更生法の適用が申請されてしまった。「ワインミュージアム」が閉館した翌年の破綻であり、コスモスクエアの開発失敗を象徴する出来事だったといえる。

 また、「ワインミュージアム」の近くには、大阪に縁の深い建築家・安藤忠雄が設計した名建築「ライカ本社屋」があったが、これも2013年に解体されてしまっている。コスモスクエアはマンションの建設こそ進んでいるものの、未開発のままになっている更地が目立ち、先行きはかなり不安な状況にある。

大阪はもっとも文化に金を使っていたが……

 大阪の政治を語る際、最近よく聞かれるのは、文化政策にこそ金をかけるべきだという主張である。それは、大阪維新の会がカジノなどのIR事業を推進しているため、それに批判的な人たちが対抗策として語ることが多い。確かに、文化を支援すべきという主張は耳障りもいいし、文化人からの共感も得やすい面がある。

 だが、コスモスクエアに現存する施設を見ればわかるように、大阪市はバブルの時代から平成初頭まで、日本の自治体の中でもトップクラスに文化政策に金をかけてきた自治体だったのである。菱垣廻船やワインのようなマニア向けのニッチな需要にも予算をつけていた。そうして文化に金を使い過ぎた結果、債務超過に陥り、深刻な財政難に見舞われたといえる。

 バブルの時代は金権主義が横行したと思われているが、実際は逆だ。オークションで高額な絵画を落札するのがブームになったように、富裕層が文化に金を使い、それがステータスとされていた時代であった。そして、コレクションを公開することが社会貢献と考えられ、各地で私設の美術館が相次いで開館した。文化的な関心が飛びぬけて高かったことがわかる。

 しかし、皮肉なことであるが、文化では客が呼べないうえ、文化政策はとてつもなく金がかかることが、大阪が巨額の税金を投じた社会実験で証明されてしまったのである。大阪維新の会の新自由主義的な政策やカジノの推進は、失敗に終わった文化政策への反動で生まれたものといえるのではないだろうか。コスモスクエアは、世界屈指の文化都市を目指した大阪の夢の跡地といえる。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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