海底トンネルの先には壮麗なガラスドーム…総工費176億円の廃墟「なにわの海の時空館」のいま わずか6000万円で売却された“名建築すぎる負の遺産”
ニッチな需要にも予算がついた
それにしても、当時の人たちは船を復元して客が呼べるなどと、本気で考えたのだろうか。鉄道なら筆者の周りにもオタクがたくさんいるが、木造船の、しかも菱垣廻船のオタクはいない。これほどニッチな需要によく予算がついたと思うし、大盤振る舞いに費用を使えた関係者は羨ましい限りである。
建物自体は、ポール・アンドリューの代表作と呼べるほど完成度が高く、それだけ潤沢に予算を出したといえる。現代ではまず予算が通ることはないだろうし、通ったとしても、ティッシュの箱のような無味乾燥な建築になってしまうことだろう。間違いなく、当時の大阪市の意気込みは本気であり、後世に残る建築を造ろうとしたのではないだろうか。
SNSでは、文化に金を使うべきであり、文化を守るべきという主張がなされている。その考えは正しいのかもしれない。しかし、ニッチな文化を公的資金で支援しても、なかなか金を生むまでに至らないし、その維持にも多額の税金を投じる必要があるのだ。「なにわの海の時空館」はそういった文化行政の難しさを具現化した施設といえるだろう。









