海底トンネルの先には壮麗なガラスドーム…総工費176億円の廃墟「なにわの海の時空館」のいま わずか6000万円で売却された“名建築すぎる負の遺産”

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約176億円で造って約6000万円で譲渡

 さて、「なにわの海の時空館」に話を戻そう。建物はフランス人建築家のポール・アンドリューの設計で、総工費約176億円をかけて2000年に開館している。驚いたのは、展示室にあたる海上のドームに渡る道が見あたらないことだ。どうやって中に入るのかと思いきや、陸にある真っ白なエントランス棟と海底トンネルでつながっているのだという。とんでもない凝った造りである。

 常に潮風に晒され続ける悪条件、地下で連絡する設計など、どう考えても維持が大変だと思うのだが、そういったことを後先考えずに造ってしまうあたり、さすがバブルの余韻が残っていた時代に計画された建築だ。部材がだいぶ錆びついているが、それでも全体の保存状態が比較的良好なのは、当時の施工が丁寧だった証拠だろう。

 開館後は年間数億円規模の赤字が続き、末期には年間来場者数が10万人に届かない状況であり、当時の大阪市長・橋下徹氏が放漫財政の象徴として批判した。2013年に閉館した後は長期にわたって買い手がつかないまま廃墟となっていたが、約176億円かけた建築は民間にわずか約6000万円で譲渡され、2025年にイベントスペース「THE JEWELRY」が開業している。

ガラスドームの中の船はどうなる

 現在はイベントスペースになっていることから、厳密にいえば廃墟ではなくなった。だが、入口のガラスには心ない者からひっかき傷のような落書きがされていたうえ、館内はガランとしていて、積極的に活用されているとは言い難い。老朽化も進行しており、改修には巨額の費用が掛かることは間違いないが、どこまで維持されるかは未知数である。

 扱いが問題になっていると思われるのが、ガラスのドームの中にある約10億円をかけて復元された木造の菱垣廻船「浪華丸」だ。大阪が舟運で賑わっていたことにちなみ、復元したのだという。閉館の際には取り壊しが計画されたが、ガラスの奥を見るとまだ残っているようで、たまに公開されることもあるようだ。

 どうせなら大阪湾に浮かべて動かせばいいのにと思うのだが、この船が厄介なのは、館内に設置してからドームを架けたため、船体を解体しなければ外に出すことができない点である。そのまま搬出する場合はドームの一部を解体する必要があるといい、このことからも、後先考えずに建設されたことがわかるだろう。船の維持にも多額の費用が掛かるはずだ。その費用が拠出できなければ、朽ちていく運命にあるのかもしれない。

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