石坂浩二でも古谷一行でもない…「いちばんイメージ通り」と言われた“金田一耕助”役の俳優とは? 映画「八つ墓村」新作公開で振り返る“異色の77年版”
シリーズ化にはならず…
〈渥美さんは真面目な人で、遅刻はしない。いつも現場にやってきては、出番が来るまで寝っ転がって、
「ごめんね。おれ、具合悪いんだ。肺一個、ないんだよ」〉(前掲書より)
しかし、セリフは完璧に覚えており、よく通る美声でNGはナシ。待っている間は冗談を言って共演者やスタッフを笑わせていたというが、「んなもんかなあ、今日は」と言って自分の出番が終わると、スーッといなくなってしまう。
〈「あれ、渥美さんは?」
そう聞いたら、スタッフのひとりが、
「帰っちゃいました。飽きちゃったんでしょ」
だって。ものすごい飽き性なのです。一日の仕事に加えて、人と十五分くらい会話して、相手を笑わせると、もう飽きちゃう〉(同)
77年の「寅さん」は、第19作「寅次郎と殿様」(8月6日公開)と、同20作「寅次郎頑張れ」(12月24日公開)の2本が製作されている。当時はお盆と正月の、年2作だった。日刊スポーツ1996年10月7日付によると、、松竹では「八つ墓村」を皮切りに金田一耕助のシリーズ化を予定、「寅さんと並ぶ、渥美さんのもう一本の柱に」と期待を寄せていたという。渥美本人も乗り気だったというが、残念ながら、実現することはなかった。
映画は辰弥を中心に話が進むため、渥美版・金田一は、登場場面は多くはないが、地道に調査を進めながらどこかひょうひょうとしており、他のシリーズとは異なる渥美の演技が光っている。1作だけで終わったからこそ、今も語り継がれる名作になったのかもしれない。
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