夏の甲子園、決勝進出校はともに6投手起用…智弁和歌山と健大高崎が10カ月で「勝てるチーム」に変わった理由

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 昨秋はそろって県大会ベスト8。智弁和歌山(和歌山)と健大高崎(群馬)は地区大会へ進めなかった。それから約10カ月後、甲子園の決勝で顔を合わせた。【西尾典文/野球ライター】

継投のパターンは82通りくらい

 8月22日に行われた第108回全国高校野球選手権の決勝は、智弁和歌山が4対3で勝利し、5年ぶり4度目の優勝を果たした。短期間で全国の頂点を争うまでにチーム力を引き上げた背景を探ると、戦い方にはいくつかの共通点が浮かんでくる。

 象徴的なのは投手起用だ。智弁和歌山は5試合、健大高崎は6試合を戦い、それぞれ計6人をマウンドへ送った。6人以上の投手を起用した学校が夏の甲子園で優勝したのは史上初である。

 単純に投手を多く揃えただけではない。以前から複数投手による戦い方を続け、登板のタイミングや役割分担まで磨いてきた。

 智弁和歌山の投手運用を語る上で、一つの転換点とされるのが1996年春の選抜だ。現在の中谷仁監督が2年生で出場し、同学年でエース格だった高塚信幸(元・近鉄)の好投に支えられて準優勝まで勝ち進んだ。高塚は4連投となった大会後に右肩を故障し、その後プロ入りを果たしたものの、かつての球威を最後まで取り戻せなかった。

 智弁和歌山は以降、一人のエースへ負担を集中させない投手運用を本格的に取り入れた。2018年8月に高嶋仁監督から中谷監督へ交代した後も基本方針は変わらず、2021年夏の優勝時には中西聖輝(現・中日)を擁しながら計5人の投手を起用している。

 今大会では、その考え方がさらに鮮明になった。中谷監督は初戦の社戦を前に「継投のパターンは82通りくらい考えています」と話している。実際、5試合すべてで異なる形の継投を選択した。

 初戦の社戦では和気匠太(3年)から長井心海(2年)へ継投。3回戦の敦賀気比戦では、和歌山大会でベンチを外れていた2年生左腕の米原佑真を先発に抜てきし、5回途中から久葉亮太(3年)へつないだ。準々決勝の仙台育英戦では和気、長井に続いて朝来友翔(3年)、三嶋健太(3年)が登板。ここまでに6人全員が甲子園のマウンドを経験した。

 準決勝の横浜戦では和気が8回1失点と好投し、最後は久葉が締めた。決勝の健大高崎戦では長井を先発に据え、和気、久葉へつないで4対3で勝利。準決勝で先発した和気を決勝では救援に回すなど、試合ごとに異なる形で投手陣を組み合わせた。

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