「高野連は何様だ」批判も沸騰!「未だにメール非対応の地方も」 球児のために高野連は「IT音痴」から脱却せよ

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 熱戦の続く甲子園。球児たちの全力のプレイはいつの時代も感動を呼ぶ普遍性を持っている。変わらない価値がある、と言ってもいいだろう。

 一方で、その甲子園を運営する側に対しては、変わらなければならない、との指摘が絶えない。特に高野連に対してはともすれば「改革を阻む元凶」のように語られることも少なくない。今大会では、18日に行われた準々決勝、智弁和歌山高校対仙台育英高校の試合後の様子が物議を醸した。試合後、互いに健闘をたたえる監督同士の交流を高野連の担当者とおぼしき人物が急かしているように見える場面がテレビで中継されたのだ。

 そのため「高野連は何様だ」との批判が多く寄せられる事態となった。

 この場面を見る限り、高野連に批判が集まるのは無理のないところだろう。しかし、誰かを悪者にするだけでは改革は進まない。それはそのまま球児たちの不利益にもなる。『高野連』の著者でスポーツライターの広尾晃氏は、同書で関係者らへの取材や歴史の検証を踏まえたうえで、これからの改革の方向を示している。熱戦に水を差すことない、数々の前向きな提言に耳を傾けてみてはいかがだろうか。

 今回のテーマは「ネット社会への対応」。驚くべきことに地方の高野連には未だにメールによる通信ができないところもあるというのだ。それではSNS対応など夢のまた夢なのは言うまでもない(前後編記事の前編)

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ネット社会へ対応せよ

 高校野球の情報化は、唖然とするほど遅れている。

 2025年夏に発覚した広陵高の件も、26年2月に起こった日大三高の件も、事件そのものは「野球部員の不祥事」だが、それよりもSNSの「拡散」「炎上」によって日本中の関心を集める大事件になった。日本高野連、地方高野連、学校はSNSの対応では後手に回り、事態を悪化させた。

 多くの企業はSNSでの拡散による被害を最小化するための「リスクヘッジ」の方策を立てている。またSNS対策の専門家もいる。方法論はあるのだ。高校野球界は、この問題に対して、専門家も交えて適切な対応をすべきだろう。

 ただし、高校野球界にこうした提言をするとき、筆者はかなり「無力感」を抱く。筆者は本書を著すに際し、47都道府県高野連の公式サイトを閲覧したが、ほとんどが写真を貼っただけの「静的サイト」であり、更新が1年前みたいなところもあった。レンタルサーバーとの契約が切れているサイトさえあった。

 地方高野連の中には、未だにメールによる通信ができないところもある。SNSも使わない、ネット情報も見ないような指導者が、SNSで起こる様々な問題に対処できるわけがない。日本高野連の公式サイトは近年リニューアルされ、SNSでの発信も始まったが、47都道府県の公式サイトは「ただあるだけ」のレベルがほとんどだ。専門家を入れた、抜本的な「情報化」が求められる。

 2026年3月、日本高野連は春の甲子園の期間、毎日新聞とともに誹謗中傷や差別発言に対するモニタリングを実施すると発表した。確認された場合は削除要請や法的措置も考えるという。同時期にNPBやプロ野球選手会もWBC期間中のモニタリングを行うと発表した。

 SNSの誹謗中傷問題は、野球界全体で取り組むべき問題でもある。

 日本高野連はNPBや選手会、JABA(日本野球連盟)とともに、日本野球界全体での「SNS対策」に取り組むべきではないか。その過程で情報化を進めるべきだと思う。

データ野球に対する無知、無理解

 世界の野球界は、野球の統計学であるセイバーメトリクスや、バイオメカニクスの進展により、劇的に変化しつつある。こうしたデータ野球は、戦略、戦術的に利用されているだけではない。筆者は先日、NPB球団のアナリストから、「ある投手が、突然回転数や球速が上がったりするときは、限界を超えて体が動いている可能性が高く故障の前兆だ。だから投げるのをしばらくやめさせる」という話を聞いた。データ野球の知見を得ることは、選手の身体能力を高めるだけでなく、怪我、故障のリスクを回避することにもつながるのだ。

 筆者は2023年、ミズノの野球用具の開発担当者に話を聞いたが、「今の高校生用のバックパックはタブレット端末を収納するスペースがあるのが標準仕様になっている。試合でも、練習でもタブレットは必須のアイテムになっているから」とのことだった。

 今では、多くの高校で弾道計測器「ラプソード」やバットスピードを計測する「ブラスト」を導入している。また、試合のデータもアプリで共有するのが当たり前になっている。高校生でも学会などでアナリスト的な研究発表をするところが出てきている。しかし、都道府県高野連の役員や、日本高野連の役員の多くは、データ野球について全く理解していない。ネット上でも実地でも多くのセミナーや勉強会が行われているが、高野連関係者の顔を見ることはない。これを活用することは野球の進化を促進するだけでなく、野球部員にアナリストという新たな役割を与えることにもつながり、高校野球の多様な発展を促すことができる。

 高野連関係者によれば、高校野球界がこうした「情報化」に消極的なのは、プロ側へのデータ流出の懸念があるからだという。また都道府県高野連は財政難と時間的な余裕がないことが、障害になっているという。中高年の指導者が「情報化に疎い」という問題もあろう。

 日本高野連は、今後、こうした部分への理解を促進するために「データ野球」の専門部会を創設すべきだろう。

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 データの重視は技術の向上のみならず、球児たちの体を守ることにも直結する。「ITには疎いので」では済まされない問題だろう。

 後編(「セクハラ隠蔽の過去も」 高野連は朝日・毎日との「密着」から脱却する時期だ)では、高野連と朝日新聞、毎日新聞などメディアとの関係性についての提言をご紹介する。

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