「とても50歳には見えませんよ!」と言われて喜ぶ人はどれほどいるか? 「ホメ言葉」が人間関係をギクシャクさせる皮肉な理由

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「顔が小さい」は、ドイツでは…

 現在48歳のマクロン大統領の妻は、24歳年上のブリジットさん。日本でも菊地凛子(45)と染谷将太(33)夫妻のような「姉さん女房」カップルもいるが、芸能人の年の差婚(離婚したカップル含む)でいえば、高橋ジョージ&三船美佳(24歳差)、加藤茶&綾菜(45歳差)、市村正親&篠原涼子(25歳差)、千葉真一&一般女性(28歳差)、石田純一&東尾理子(22歳差)のように、男性が年上であることが多い。こうなると「若い奥さんで羨ましいな」といった話になってくる。

 そのような社会ではあるものの、異文化で日本のホメ言葉を使う時は注意が必要だ。ドイツ事情に詳しいコラムニストのサンドラ・ヘフェリンさんは日本におけるホメ言葉「顔が小さい」は、ドイツでは「脳味噌が足りない」的なイメージがあると著書に記した。日本ではスタイルの良さを表す言葉だが、アメリカ人男性に「やせてますね」と言うとムッとされる。skinnyという単語は「ガリガリの弱虫」という意味があるからだ。

 かくもホメ言葉は難しいものだが、日本のホメ言葉をさらに複雑化させているのが、「謙遜ないしは自虐的なことを相手に言い、それを否定する形でのお褒めの言葉をもらう」という阿吽の呼吸である。以下のような展開になる。

「最近太っているんですよ」→「全然やせてるじゃないですかー!」

「最近物忘れが激しくて困ってるんですよ」→「たくさんの情報を普段から処理しているから、全然普通の人より色々なこと覚えてますよ!」

「最近シワが増えてしまいましてね」→「えー、53歳でそれってお肌ツルツルじゃないですか! 笑うことが多いからそう思うだけじゃないですか!」

 まさに様式美とも言える展開だが、とにかく相手に対して社会通念に従った優しいポリコレ的切り返しをするのが大人としてのマナーとされている。ただ、はっきりと事実を言ってしまっても良いのでは。もちろん、ポジティブな文脈で言う必要はあるが。「少し体重があった方が健康でいられると聞きましたよ」「スマホに音声を吹き込んでメモ作るといいですよ」「シワのない人なんていないので、それは自然現象ですよ」といった感じだ。

 我々は他人をホメなくてはいけない強迫観念に苛まされているのではなかろうか。以前、会社の先輩から聞いたのだが、赤ちゃんを初めて見せられた時かわいくなかったのだという。そこで言ったのが「小さ~い」だった。理由は「なんかホメているように聞こえるのよ」とのこと。無理矢理ホメ言葉風のことを言うより、「おぉ! おめでとうございます!」ぐらいでいいと思う。

ネットニュース編集者・中川淳一郎

デイリー新潮編集部

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