広末涼子、深津絵里、新垣結衣、松坂桃李、風間杜夫…お盆に観たい「亡くした大切な人との映画」5選

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亡くなった父母と過ごす夏

〇「異人たちとの夏」(1988年)

 脚本家・山田太一の小説を、大林宣彦監督が映画化。亡くなった父母との再会を描く。

 お盆が近いある日、40歳の脚本家・原田英雄(風間杜夫)は生まれ育った浅草の演芸場を訪れた。すると客席に父(片岡鶴太郎)がいる。両親は英雄が12歳の時に事故で亡くなっているのに……。半信半疑のまま父に誘われ町外れのアパートに着くと、入り口から母(秋吉久美子)が「どうぞ」と言って顔をだした。英雄は「お母さん」と呟き立ち尽くす。

 衝撃が伝わる感動的なシーンだ。部屋に入ると両親からやさしくされ、英雄は温かい気持ちに包まれる。ちゃぶ台、扇風機、すだれ、朝顔、風鈴。その一つ一つは家族3人がここで生活していた証しだ。

 いなせな職人の父を演じる片岡の好演も光るが、母親役の秋吉が強い印象を残す。母は32歳の時に亡くなった姿のままだ。自分より若い母に何かと面倒を見られ、ドギマギする英雄。秋吉は「息子を見つめる目つきが色っぽすぎるから、もっと自然にしてほしいと大林監督に言われたことを覚えています」と語っている(「週刊文春CINEMA」2024年春号)。

 英雄はマンションの住人・桂(名取裕子)と親密になる。桂は両親と会うたびにやつれていく英雄に、もう会わないことを約束させた。悩んだ末に英雄はすき焼き屋で両親に別れを告げる。2人が「お前に会えてよかったよ。お前は自慢の息子だ」と言って消えていく場面は、何度観ても泣けるという人が多い。

 異人でも幽霊でもいい、もう一度会って話をしたい。親を亡くした経験のある人には、いつまでも余韻が残る作品だろう。

稲森浩介(いなもり・こうすけ)
映画解説者。出版社勤務時代は映画雑誌などを編集

デイリー新潮編集部

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