アントニオ猪木を「彼はテキサス人以上のガッツマンさ」と激賞…テーマ曲「スピニング・トーホールド」で日本中を沸かせた“最強レスラー”の胸を熱くする名言

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パワーに頼らない理詰めのテクニック

 ドリー・ファンクJrは1941年生まれ。父親のドリー・ファンク・シニアもレスラーであった。広大なテキサス州はアマリロに牧場と居を構え、父の英才教育のもと、1963年にデビューすると、6年後には当時の世界最高峰・NWA世界ヘビー級王座を奪取する。

 先代の“荒法師”ジン・キニスキーや、同王座に6度も就いた“鉄人”ルー・テーズのように、暴れん坊でもなければ頑強なタイプでもなく、顔はどう見ても良家のお坊ちゃま風で、体もどちらかというとスマートな部類に入った。ところが、パワーに頼らない理詰めのテクニックと、投げ技でも当て身技でもない、逆関節技のスピニング・トーホールドをフィニッシュに同王座を4年3ヵ月に渡って保持。このドリーの長期政権により、近代プロレスの扉が開いて行ったとは、よく言われるところである。

 1969年、まさにそのNWA世界王者期に日本プロレスに初来日。やはり線の細さを指摘する報道が目立ったが、アントニオ猪木とジャイアント馬場という2大エースを相手に、12月2日、3日と連続で防衛戦に挑み、どちらも60分時間切れの引き分け。日本のファンに世界レベルの強豪ぶりを印象付けた。その証拠に(?)、当時、連載中だった人気劇画「タイガーマスク」では、このドリーがタイガーの最後の対戦相手となっている(※2連戦の予定で、初戦はドリーが反則負けも、次戦の直前、タイガーこと伊達直人が交通事故死)。

 翌年には弟のテリーも初来日し、“ザ・ファンクス”を結成。ジャイアント馬場率いる全日本プロレスの外国人エースとして人気も定着する。ところで、ファンクスと言えば有名なのが入場曲の「スピニング・トーホールド」。これはもともと日本のロックバンド「クリエイション」の竹田和夫がファンクスへの個人的な思い入れから作曲したものだった。

 同曲を収録したアルバムの発売は1977年3月。当コラムのミル・マスカラスの回で述べたが(2026年2月24日配信)、この時期、ちょうどその入場曲「スカイ・ハイ」が世間的にビッグ・ヒットしていた。この流れに乗じる形で、ファンが、「ファンクスの技名をタイトルにした、こんな曲ありますよ」と、全日本プロレスに投書し、正式に入場曲に選ばれたのだった。日本での当時の人気ぶりがうかがわれよう。

 そして、人気を決定づけたのがこの年末、77年12月15日に行われたファンクスvsアブドーラ・ザ・ブッチャー、ザ・シークだった(蔵前国技館)。ブッチャーに右腕をフォークでメッタ刺しにされた弟・テリーを場外に逃がし、ドリーが孤軍奮闘も蹂躙される。そこに包帯による応急処置をしたテリーが助けに入って来る展開は、今観ても胸を熱くさせる。そして反則勝ちのあと、「スピニング・トーホールド」が流れて大団円を迎える……余談ながら、今ではデフォルトとなっている、試合後に勝ったレスラーの入場テーマ曲をかける演出は、この時が最初だった。また、同試合は、全日本プロレスにおける最初のタッグのリーグ戦「世界オープンタッグ選手権」の最終戦でもあり、こちらが至高の名勝負になったことで、翌年からは年末に「世界最強タッグリーグ戦」が定着する。同大会は全日本プロレスで、現在も続いている。

 以降も、極めて高い人気を誇ったファンクスだが、ドリー個人の活躍も特筆すべきものがある。1981年4月、力道山、馬場の代名詞だったタイトル「インターナショナルヘビー級選手権」を復活させた際、その初代(通算では10代目)の王者に輝いたのはドリーだったし、同年10月に行われた同王座をかけてのブルーザー・ブロディとの死闘は語り草となっている。全日本プロレスに上がった長州力とも激突したが、弟のテリーは自分の攻めに固執する長州を毛嫌いしていた反面、ドリーは後年のインタビューで、鷹揚としていた。

〈決して嫌いなスタイルじゃない。プロレスにはさまざまなスタイルがあり、私はそれを取り込みながら自分のスタイルを作って来たから、長州のスタイルも否定しない〉(「アサヒ芸能」2016年11月17日号)

 それは、自らの実力への自信が言わせた言葉ではなかったか。因みに、スーパーストロングマシンが全日本のリングに上がっていた際、嬉しかったことの一つが、「ファン時代から一番好きだったドリー・ファンクJrのスピニング・トーホールドを受けられたこと」だったそうである。「3周目に入られると決まりそうだったので、蹴っちゃいましたけど(笑)」とは本人の弁である。

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