「本当に怖いのは「ムセない誤嚥」 誤嚥と肺炎を防ぐ「のど筋トレ」の方法とは?

ドクター新潮 ライフ

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 誤嚥性肺炎と合わせると肺炎はがん、心疾患に次ぎ、死因の第3位。「肺炎は老人の友」という言葉もあるほどだ。嚥下治療の第一人者、西山耕一郎医師は、肺炎で命を失わないための「のどの筋トレ」を提唱する。

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「最近、ちょっとムセやすい……」

「水を飲むとムセることがある……」

「たびたび痰がからんでしまう……」

 普段の何気ない小さな違和感が、もしも命を縮める病の入り口だとしたら――。あなた自身が、あるいはご家族やご友人の中にゴホゴホとよくムセている人はいないでしょうか。

 ムセることは、年齢を重ねれば誰にでも起こる小さな出来事に見えます。しかし、その実態は「のどの筋肉」が衰えている兆しに他なりません。私は専門医として断言します。「のど」こそ、人間が健康長寿を全うするために最も衰えさせてはいけない体の機能なのだと。

〈ヒトの老化は「のど」から始まる。そう語るのは「飲み込み」のエキスパートとして約30年、延べ1万人を超える嚥下治療患者さんを診てきた西山耕一郎氏だ。

 国立横浜病院や北里大学で研鑽を積んだ後、西山耳鼻咽喉科医院院長に就任。2017年、臨床の傍ら出版した著書『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』(飛鳥新社)は、発売するやたちまち大反響を呼び、年間ベストセラーに。

「日本医師会雑誌」に“誤嚥と肺炎予防の概念を国民に普及させた”と紹介され、嚥下障害の総説が掲載されるなど、嚥下治療の第一人者として知られる医師である。〉

訃報に繰り返し現れる病名

 57歳の若さでこの世を去った歌舞伎俳優の中村勘三郎さんをはじめ、名俳優や往年のスターたちの訃報を伝えるニュースに、繰り返し現れる病名があります。それが「誤嚥性肺炎」です。読者諸兄にはご存じの方も多いと思いますが、簡単に言えば「誤嚥」とは食べ物や水分が間違って肺の方へと転がり落ちてしまうこと。それにより肺の中で炎症が起きると「肺炎」になります。

 足腰の筋肉が衰えても、人間は生きていくことができます。しかし、のどの筋肉が衰えるともう待ったナシ。食事をするとき、水やお茶を飲むとき、お薬を飲むとき、唾液を無意識で飲み込むとき、この「誤嚥」が一日中ひっきりなしに襲ってくるからです。ムセているうちはまだ症状に気付くこともできます。しかし、誤嚥を繰り返していると、体が反応しなくなってしまう「不顕性(ふけんせい)の誤嚥」が始まり、それが「不顕性の肺炎」に発展するケースもあるので恐ろしいのです。

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