「本当に怖いのは「ムセない誤嚥」 誤嚥と肺炎を防ぐ「のど筋トレ」の方法とは?

ドクター新潮 ライフ

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七つのチェックリスト

 上のチェックリストで、四つ以上あてはまる人はかなり危険です。このまま見過ごせば、毎日の楽しい食事の時間が、ムセと咳におびえるツラい時間へと変わる可能性があります。二つ~三つの人もすでに誤嚥性肺炎の入り口に立っています。

 さて、誤嚥を防止するには、のどの仕組みを知るのが近道です。通常、人が食べ物や水を飲み込むときに、のど内部でどんな反応が起こっているかご存じでしょうか?

 そもそも、空気と食べ物を仕分けする役割を担っているのが「のど(喉頭)」です。のどには空気が出入りする「気管」と、食べ物が入っていく「食道」の2本のルートがあります。その分岐点には喉頭蓋というのどの防波堤があり、呼吸をしたり声を出しているときはこの防波堤が開いて「気管」が使われています。

 一方、食べ物を飲み込むときには、瞬時に防波堤が後ろに倒れて「気管」の入り口をふさぎ、食べ物が間違って「気管」に入らないようにしています。同時に「食道」が開いて、食べ物が胃へと進んでいく仕組みになっています。このように飲み込むことを嚥下と言います。

最重要の「のど仏」

 もう少し深掘りしましょう。

 嚥下をするとき、喉頭蓋という防波堤が倒れると言いましたが、厳密にはそれより先にのど仏が瞬時に斜め上に持ち上がります。のど仏が上に動くおかげでのどの防波堤が倒れる、という順番なのです。この連携プレーはなんと、わずか0.8秒という一瞬の間に起きています。

 成人の1日の嚥下回数は、平均で約600~1000回といわれます。つまり、のど内部ではこの連携プレーが毎日何百回もノーミスで行われ、誤嚥を防いでくれているわけです。三度の食事はもちろん、お茶を一口飲むときも、雑談の合間に小さく唾を飲み込むときも。奇跡的にさえ思えます。

 では、この連携プレーの立役者は誰でしょうか? そうです、最初に動き出す「のど仏」が先陣として最重要任務を担っています。とはいえ、のど仏自体はただの軟骨ですので、自ら上がったり下がったりできません。それを可能にしているのが「喉頭挙上筋(きょじょうきん)群」。これこそが誤嚥を防ぐ「のどの筋肉」です。

 この筋肉が元気なうちはおいしく、楽しく食事を味わえます。しかし、加齢で喉頭挙上筋群が衰え始めると、まずのど仏の上がりが鈍くなります。ゆっくりと動くようになり、動ける幅も狭くなる。すると次に起こるのが、のどの防波堤である喉頭蓋が閉じ切らなくなる現象です。「気管」に完全にふたをする前に食べ物が送り込まれるとどうなるか? 入り口が少し開いた状態の「気管」に誤って侵入してしまいます。この瞬間、体は異物を感じてムセが起こります。あるいは食べ物のかけらが気管の入り口に残ってしまうと、声がカスれたり、炎症になって痰(膿)が出やすくなったりする。これが誤嚥の経緯です。

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