上白石萌歌、齋藤飛鳥、蒼井優、小松菜奈、長澤まさみ…女優たちの“人生と運命”がきらめく「夏の海の映画」5選
あの夏の海を忘れない
〇「あの頃、君を追いかけた」(2018年)
台湾で大ヒットした作品を、乃木坂46の齋藤飛鳥と山田裕貴の主演でリメイクした。
浩介(山田裕貴)は、学校の規則に反抗的な問題児。同級生の真愛(齋藤飛鳥)は、教師から浩介のお目付役を任命されて……。真愛の親友・詩子(松本穂香)を含めた同級生7人の高校から卒業後までの10年間を描く。
最初は反発し合っていた2人が、徐々に惹かれ始めて交際を始めるというよくある話だ。しかしこの作品にはいくつかの仕掛けがある。冒頭の結婚式に出席するシーンは、ラストまで誰と誰が結婚するかわからないようになっている。そして最後に「もしあの時こうしていたら」のifの世界が描かれるのだ。
もう一つ、公開次に話題になったのが時制の入れ替えだ。高校の最後の年が描かれるのだが、卒業式の後に受験の時期が描かれ、最後に夏休みに皆で海へ行くシーンと順番が逆だ。
もちろんこれには意図がある。海辺で7人は一人ひとり将来の夢を語り合う。「俺たち、どんな大人になるんだろうな?」と。10年後の結婚式で、ある人物が「7人で会うのはあの夏の海以来だね」としんみり言うシーンがある。順番を逆にしたのは、彼らにとってあの夏の海がどんなに大事だったかを強調したかったからだ。
齋藤は子役時代を除いて今作が映画初出演だった。公開当時、今後の女優業について「まだそんなレベルではないが挑戦していきたい」と述べている。その言葉どおり「【推しの子】-The Final Act-」(2024年)では、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し夢を実現した。
母の手紙を待ちながら
〇「ニライカナイからの手紙」(2005年)
幼い頃に母と別れた少女が、毎年誕生日に届く母からの手紙を胸に成長していく物語。八重山諸島・竹富島を舞台に、映画では単独初主演となる蒼井優が演じた。
風季(蒼井優)は、母(南果歩)と郵便局長のオジイ(平良進)と3人で美しい島・竹富島で静かに暮らしていた。ある日、母は風季をおいて東京に出かけて行くが、そのまま島には戻ってこなかった。風季にとって、海は母と過ごした大切な思い出の場所。岸壁には郵便ポストがあり、母宛の手紙を投函する。そして毎年誕生日には母からの手紙が届くのだ。しかし、成長するにつれ母がなぜ自分の元を離れたのか疑問を持ち、風季は東京に母を訪ねることに……。
熊沢尚人監督はこの難しい役を誰ができるのだろうと悩んでいたが、風季のイメージにぴったりの蒼井に思い当たったという。「完成したシナリオを送ったところ、泣きながら一気に読んでくれたそうです」と。そして蒼井の魅力とは「ずっと芝居を見ていたくなるんです。意図している以上のエモーションを表現してくれる」(「キネマ旬報」2005年7月上旬号)と絶賛している。
ニライカナイとは沖縄地方に伝わる伝承。母は風季と海を見ながら「水平線のずっと向こうにね、ニライカナイって呼ばれてる神様が住む理想の世界があるって言われてるさ」と教えた。風季にとってのニライカナイは、手紙によって母と繋がっている大切な場所なのだ。美しい海や自然を背景に、母娘の織りなす絆が心に残る作品だ。
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