早くも11勝「菅野智之」のトレード移籍はなぜ実現しなかったのか データが語る“本当の実力”とは

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データの上では…

 米アナリスト会社が「菅野が最多勝争いに加わっている」ことに首を傾げているのは、3つのセイバーメトリクスの数値に注目しているからだ。守備の影響を除いた防御率で、投手のリアルな能力値とされるFIPが5.39。奪三振、与四球、被本塁打から計算され、昨季の大谷翔平(32)は1.90を記録していた。5段階で投手を分別するが、最高位は2.50以下で、「圧倒的な投球内容」となる。2段階目が「2.51から3.50」、3段階目が「3.51から4.20」、4段階目が「4.21から5.00」。

 メジャーリーグの先発ローテーションに入ってくる投手であれば、ほとんどが3段階目の数値までに収まるが、菅野はいちばん低い5段階目の「5.01以上」。FIPでは「改善の余地アリ」の厳しい評価になる。

 また、三振、四球、打球の性質まで加味された「実力反映」の指標であるSIERAでも、菅野は5.11と低い数値になっている。

「米フリーエージェント市場で上位にランキングされる投手のSIERAは2点台で、3点台半ばの投手は30位以下に置かれます。山本はナ・リーグでもトップクラスです」(前出・同)

 山本は昨季、SIERA2.04でナ・リーグトップにも躍り出たことがある。それに対し、菅野は6.00台。この2人が11勝で並んでいるわけだから、米アナリスト会社が首を傾げるのも当然だろう。

「さらにいえば、菅野のQS(クオリティ・スタート=先発投手が6回以上を投げ、3点以下に抑える)率は31.6%、山本は80%です」(前出・同)

 菅野は被本塁打の多さを指摘されると、その度に「まあ、ソロホームランなら」と苦笑いを返しているという。「失点しても最小限なら割り切って受け入れる」という考えに変わったようだが、それだけが「勝てる理由」ではないだろう。

「奪三振数の多い投手は強い打球を打たれるケースが少ないので、セイバーメトリクスの数値も良くなります。安打や四球で走者を出す投手と、走者を溜めてしまう投手を比較すると、ともにゼロで抑えたとしても後者のほうが数値が悪くなります。菅野は走者を溜めても最少失点で抑えようというピッチングです」(前出・同)

「粘り強く」は巨人時代からの投球スタイルである。昨季と球種の割合もほとんど変わっていないが、今季はウイニングショットでスライダーを投じることも多くなったという。昨季は決め球でフォークボールを要求されていたが、ロッキーズでは年長者らしく、自分の意見も言うようになった。

「左打者に対し、スライダーでボールゾーンから外角ギリギリに入ってくるスライダーで見送らせるストライクを取っています。その横に曲がる軌道のスライダーで追い込んだあとに投げるスライダーは、軌道が違います。斜めに落ちてくる、縦の軌道です」(前出・現地記者)

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