ひと声でスタジオを掌握…「金銭欲」も「ゆで卵」も笑いに変えた 板東英二さんが「司会者」として愛されたワケ
司会者として長期に活躍
7月22日、元プロ野球選手でタレントの板東英二さん(享年86)が亡くなった。板東さんは徳島商業高校のエースとして甲子園で大会通算83奪三振という記録を残し、中日ドラゴンズでも投手として活躍した本格的なアスリートである。現役引退後は野球解説者を経て、テレビタレントとして頭角を現し、「マジカル頭脳パワー!!」など数多くの番組で司会を務めた。スポーツ選手の引退後の進路が現在ほど多様ではなかった時代に、司会者、タレント、俳優として実績を残した異例の存在だった。【ラリー遠田/お笑い評論家】
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【写真】「最高の笑顔」…高須克弥氏が公開した「板東英二さん」
タレントとしての板東さんは、単なる「話の面白い元野球選手」ではなかった。元アスリートが芸能界に進出する場合、現役時代の知名度や豪快なエピソードを頼りに、一時的な人気を得ることは珍しくない。
しかし、司会者として長期間にわたって番組の中心に立つためには、それとは別種の能力が必要になる。進行を正確に把握し、限られた時間内に出演者へ話を振り、盛り上がりを作りながら、番組全体を予定された着地点へ運ばなくてはならない。板東さんは、元選手という肩書を生かしながらも、最終的にはテレビの職人として評価された人物だった。
そこで大きな武器となったのが彼の声と話し方だった。やや甲高く、よく通り、関西弁の抑揚が明瞭な声は、聞き取りやすく魅力的だった。テレビの司会者は画面上の姿だけで存在感を示すわけではない。出演者が多く、映像が頻繁に切り替わる番組では、司会者の声が全体をつなぐ背骨になる。
板東さんの声は、にぎやかなスタジオの中でも埋もれず、それでいて重苦しい威圧感を与えなかった。出演者に話を振り、やり取りをしてから次の展開へ進む。その一連の流れを、声だけで明確に区切ることができた。
滑舌の良さも見逃せない。板東さんは早口で話しても、言葉の輪郭が崩れることがなかった。必要な言葉をはっきり発音し、不要なところを長引かせない。この実務的な能力が、クイズ、情報、トーク、生放送といった異なる形式の番組に対応できた理由だった。
さらに板東さんには、台本を読んでいるように見せない技術があった。テレビ番組の司会は、完全な即興ではない。あらかじめ決められた台本があり、紹介すべき情報があり、決められた時間にCMへ入り、予定された順番で企画を進める必要がある。しかし、司会者が台本の文言をそのまま読み上げているように見えれば、番組は急に作り物めいてしまう。
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