“校内暴力”と“いじめ”が吹き荒れる令和の日本に“鉄槌教師”は必要か? 専門家が「荒れた教育現場に必要なのは体罰よりも“弁護士”“警察”“監視カメラ”」と断じる理由
前編【生徒の自主性を重んじる時代になぜ“校内暴力が12万件超”で過去最多に? 「落ちこぼれ」と「吹きこぼれ」が教室にあふれる日本型教育の“機能不全”】からの続き──。文部科学省は昨年10月、2024年度に起きた小・中・高校の暴力行為やいじめの調査結果を発表した。暴力行為は12万8859件発生し、前年度から1万9872件増加。増加率は18・2%に達し、過去最悪の数字となった。(前後編の後編)
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【詳細なデータを見る】中学生でも高校生でもなく…“いじめ”の件数が激増しているのは実は「小学生」だった。いじめを認知した学校の割合は衝撃的な数字に
いじめも76万9022件で過去最悪だった。小・中・高校で問題行動が増え続けていることから、一部では「昭和の学校教育」を再評価する動きも目立つ。
特にSNSでは「今の先生はコンプライアンスでがんじがらめになっている」と同情する声が強く、「体罰の復活が必要」という意見は相当な数に達している。
Netflixでは6月5日、韓国のドラマ「鉄槌教師」が配信され、日本でも大きな注目を集めた。韓国の学校で体罰が禁止され、教室は暴力やいじめが蔓延する無法地帯と化す。解決のため政府は「教権保護局」を設置。元特殊部隊員の主人公は加害者の生徒たちに“正義の鉄槌”を下すというストーリーだ。
教育評論家の親野智可等氏は、公立小教諭として23年間勤務した経験を持つ。親野氏は「確かに昔の先生が体罰という“武器”を持っていたのは事実です」と言う。
「子供たちを大声で怒鳴って叱責するだけでなく、子供をビンタすることも普通だった時代がありました。その結果、クラスの“表面的な秩序”は保たれていたと思います。ただし“表面的”に過ぎなかったということは重要でしょう。もう忘れている人が多いかもしれませんが、昭和の学校教育でも暴力行為やいじめは起きていました。私の実務経験を改めて振り返ると、むしろ今より数が多かったとしても不思議ではないと考えています」
貧弱な日本の教育予算
昭和の時代、子供たちの暴力やいじめを認定するには高いハードがあり、学校側も報告には消極的だった。
「それが積極的に報告するように変わりました。そのため統計から『昔は子供の問題行動は少なく、今は多い』と分析してはいけません。昔も今も暴力やいじめの問題は起きているわけですから、体罰という武器は実のところ、子供たちの問題行動を抑制する効果は期待できないのです。先生から体罰という武器を取り上げたのは正しい判断ですが、大問題なのは代わりの武器が与えられていないことです。そのため先生が子供たちの問題行動に対処できていないのです」(同・親野氏)
親野氏が考える最優先の対策は「クラスの少人数化」だ。政府は2021年度から5年かけて40人学級を35人学級に減らしているが、まだ足りないという。
「アメリカの『STARプロジェクト』の研究で、クラスの少人数化をすることで子供たちの問題行動が減ることが判明しています。にもかかわらず、日本で少人数化が進まなかったのは、日本の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合が、長年にわたりOECD平均を大きく下回り、最下位争いの常連となっているからです。予算が少ないので先生を増やせないのです。根本的な解決のためには、予算を増やして先生の数を増やし、30人学級、25人学級と、一人の先生が見る子供たちの数を減らしていく必要があります。同時に複数担任制やティームティーチングの導入も必要です。」(同・親野氏)
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