森保監督「異例の半年続投」への違和感 W杯の結果はどう評価された? 曖昧な「人事判断」から見えてこないJFAの主体性

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Japan’s Wayを現場につなげられるか

 JFAには、日本サッカーの方向性がまったくないわけではありません。

 2005年には「2050年までにサッカーファミリーを1000万人にし、FIFAワールドカップで優勝する」という長期目標を掲げ、2022年には、そこへ至る道筋として「Japan’s Way」を策定しました。

 2025年に改訂された第2版には、日本サッカーのプレービジョン、攻撃と守備の考え方、日本代表の方向性、育成年代で育てるべき選手像まで記されています。代表強化だけでなく、ユース育成、指導者養成、普及を一体として進める考え方も示されています。つまり、理念も、目指すサッカーの大枠もすでに存在しています。問われるのは、それが実際の監督選びや評価にどう使われているのかです。

 森保監督のサッカーは、Japan’s Wayに示されたプレービジョンをどこまで実現したのか。大岩監督は、どのような点でその方針に適合しているのか。次の4年間で、何を継承し、何を進化させるのか。

 今大会で優勝したスペインから学ぶべきなのも、ボールを保持する「ポジショナルプレー」そのものだけではありません。

 スペインは、自分たちが良しとするサッカーを定め、それを可能にする選手を育て、指導者を養成し、代表チームまで同じ方向へつなげてきました。成功した国の戦術だけを切り取ってまねるのではなく、選んだサッカーを実現するための選手と環境を、長い時間をかけて育ててきた。その仕組みこそ、学ぶべきものです。

 日本も、世界から学ぶのをやめる必要はありません。ただし、学んだものを自分たちのサッカーとして組み上げる段階には来ています。

 Japan’s Wayが監督人事、代表強化、選手育成まで一本の線でつながれば、監督が代わっても、日本代表が目指す方向は変わりません。

 逆に、そのつながりが見えなければ、Japan’s Wayは大きな理念を記した文書のまま、監督人事はその時々の結果や事情に左右され続けることになります。

継続すべきは、人ではなく方針

 森保監督は、与えられた条件の中で最善を尽くしたと思います。

 8年間にわたって日本代表をまとめ、FIFAランキングを上げ、世界の強豪国と互角に戦えるチームをつくりました。世代別代表からA代表への流れを整え、選手たちが日本代表に誇りを持って戦う文化も築いた。これらを高く評価し、アジアカップまで託すという判断そのものはあり得ます。

 だからこそ、JFAは、その判断に至った道筋を明確に示すべきでした。W杯で目標に届かなかった事実を、ほかの実績がどのように上回ったのか。4年前に与えた課題をどう採点したのか。アジアカップまでの続投は、森保監督の8年間に対する評価なのか、それともアジアカップを勝つための短期的な人選なのか。

 それが曖昧なままでは、森保監督が正当に評価されたとも、厳しく査定されたとも言えません。継続すべきは、人ではなく方針です。監督が代わっても、日本代表が何を目指し、何を積み上げるのかは変わらない。その方針に照らして監督を選び、事前に共有した基準によって仕事を評価する。そして、その方針を代表チームだけでなく、これからの選手を育てる現場にもつなげていく。

「次の4年」で問われているのは、大岩監督の手腕だけではありません。本来は監督を評価する立場にある、JFAの主体性なのだと思います。

デイリー新潮編集部

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