森保監督「異例の半年続投」への違和感 W杯の結果はどう評価された? 曖昧な「人事判断」から見えてこないJFAの主体性
4年前に出された「宿題」の答えは
カタールW杯後の2022年12月、JFAが森保監督の続投を決めた際には、次の4年間に向けた課題も提示されていました。
当時の反町康治技術委員長は、短い活動期間で選手を同じ方向へ向かわせ、戦術を統一する能力を森保監督の長所として評価しました。一方、ドイツやスペインを相手に受動的な戦いを強いられたことを踏まえ、今後はもっと「能動的なサッカー」を目指してほしいと求めています。これは、第2次森保体制に出された明確な「宿題」でした。
自分たちがボールを持ち、試合をコントロールすることだけが能動的なサッカーではありません。守備から入るとしても、自ら狙いを定めてボールを奪い、攻撃につなげる。相手に対応するだけでなく、自分たちの意思で試合を動かす。それが4年前に求められた進化だったはずです。
北中米大会では、得点数や先制した試合が増え、攻撃面では前進しました。一方、ブラジル戦ではボールを奪う位置がグループステージより下がり、押し込まれたまま試合を覆されました。
では、4年前に示された「能動的なサッカー」という課題は、どこまで達成されたのでしょうか。
できたのか、できなかったのか。一定の進歩はあったが、ベスト8へ進むには足りなかったのか。それとも、4年間の中で目指すサッカーそのものが変わったのか。
森保監督の続投を発表するのであれば、本来は、この問いに対するJFAの答えがあってもよかったと思います。
評価基準はどこから導かれるのか
では、監督を評価する基準は、どこから導かれるべきなのでしょうか。
本来はJFAに、日本代表がどのようなサッカーを目指すのかという方針があり、その実現に適した監督を選ぶ。その方針に照らして、監督がチームをどこまで前進させたのかを評価する。監督が先にいて、その監督のサッカーを日本代表の方針にするのではなく、順序は逆であるべきです。
サッカーでは、チームがどのように試合を進めるのか、その原則を「プレーモデル」と呼びます。JFAの言葉を使えば「プレービジョン」です。
これはシステムや個別の戦術だけを意味するものではありません。日本人選手の特徴、育成環境、これまで積み上げてきた歴史を踏まえ、攻守にわたってどんな方法論でプレーするのかを方向付けるものです。
日本代表のプレービジョンが明確なら当然、監督を評価する基準もそこから導かれます。さらに、どういう選手を代表に選ぶのか。育成年代でどのような能力を伸ばすのか。全国の指導者と子どもたちが、何を目指して日々のトレーニングを積み重ねるのか。その方向も同時に定まります。
監督評価とは、目の前の代表チームを採点するためだけの作業ではありません。日本サッカーがどこへ進むのかを、未来の選手たちへ示す行為でもあるのです。
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