「スタンガンで感電させられ、上の階から排泄物が…」 「習近平」が黙認、日本人駐在員が恐怖する「中国刑務所」の“残酷すぎる実態” 半年分の労働の“信じられない賃金”とは

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足首に鉄枠が…

 ラダル氏はその後の裁判で実刑判決が下り、刑務所に収監される。刑務所内でも囚人同士の争いに巻き込まれ、看守に反抗したなどとされ、懲罰として194日間独房に監禁された。独房は1.2メートル×1.8メートルと1畳(0.9メートル×1.8メートル)よりも少し広いくらいだ。

 この独房で、ラダル氏は鎖につながれた鉄の脚錠をはめられ、足首に鉄枠が食い込み、皮膚が破れ、感染症にかかったが、治療は受けられなかった。それどころか、この間、刑務所の看守に繰り返し殴られ、スタンガンで感電させられ、催涙スプレーを浴びせかけられるなど、「長期の独房監禁は、実際には虐待と拷問だった」と語っている。

 このため、ラダル氏は4カ月経ったころから、ずっと独り言を言い始めるようになったという。これをみた看守が「大丈夫か?」と尋ね、ラダル氏が「なぜ?」と聞き返すと、「お前が笑っているからだ」と畳みかけたという。ラダル氏は精神的にかなり追い詰められた状態だったようだ。

奴隷労働の実態

 中国の民主活動家の弁護を多数引き受けたことがある米国在住の中国人人権弁護士、李方平氏は、同報告書内で、「中国の刑務所法では、受刑者の独房での拘禁期間は最長で15日の範囲と定められている」と述べて、「(ラダル氏の)194日間の連続拘禁は明らかに刑務所法に違反している」と強調している。

 ラダル氏が暮らした刑務所の雑居房では20人くらいの囚人と一緒だった。アフリカ系とパキスタン系の囚人が施設内で最大のグループを構成し、このほか、アフガニスタン、イギリス、アメリカ、ラテンアメリカ、北朝鮮、台湾の男性も拘束されていた。彼らの多くは麻薬運搬の罪で有罪判決を受けていた。

「私たちはときに何カ月もシャワーや洗面などを禁じられたことがあった。また、寝室ではずっと電気はついたままで、そのまま眠らざるを得なかった。トイレでさえ、決まった時間にしか使えず、しかも汚れていて、上の階のトイレの排泄物が絶えず私たちの上に滴り落ちていた」

 こうラダル氏は刑務所内の劣悪な環境を吐露している。

 また、刑務所内の“強制労働”についても証言している。ラダル氏らは2022年2月から半年間、1カ月平均22日間、1日8時間の労働をし、文書の袋詰め、ラベル仕分け、医療用品の処理などを行った。が、半年間分の報酬はわずか合計4.2元(約101.178円)だった。低賃金どころの話ではなく、実質的な「無償労働」あるいは「奴隷労働」といってもよいだろう。

234万人が服役

 ここで中国の刑務所事情を見てみよう。今回の「セーフガード・ディフェンダーズ」の報告書では、2018年時点で中国には約680の刑務所があり、約170万人を収容していたという。これは中国政府の部外秘のデータを引用しているが、判決を受けているものの拘留中または移送待ちの人を含めると、服役中の人数は約234万人いると推定している。

 これだけの数の囚人が労働を行えば、かなりの生産量が見込めるが、そのほとんどが無報酬に近いと言えよう。

 ラダル氏は2024年に刑期満了で釈放され、オーストラリアに帰国。その後、結婚し、実業家として現在は円満な生活を送っており、英BBCやオーストラリア放送協会(ABC)などのメディアで中国での獄中体験を語っている。

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