物価高の火元を放置しての消費税減税が 物価高のスパイラルにつながる明白な理由

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消費減税が物価高を誘発する

 現在、超党派の「社会保障国民会議」で、飲食料品の消費税の減税について議論されていますが、与野党間の意見の隔たりは、なかなか埋まりません。「早く結論をまとめて、消費減税を実行してほしい」と思っている人も少なくないと思います。しかし、結論を先にいえば、もし消費減税が実行されれば、物価がもっと上がって、私たちの生活がもっと苦しくなる、という日々がはじまることになります。

 それなのに現状では、減税が実行されそうなので、筆者はおそろしくて仕方ありません。7月21日に閣議決定された「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)には、消費減税について〈本年8月上旬までを目途に、その方針を決定する〉と明記されています。高市早苗総理が審議をゆだねた「国民会議」が結論を出せなかった場合は、総理が減税を断行するのではないか、とみられているのです。

 それは、このところ各メディアの世論調査で、内閣支持率が急落していることと関係があります。総理周辺では、挽回するには減税を断行するしかない、という声が高まっているそうです。実際、支持率低下の原因は、物価高対策が置き去りになっていることだという指摘が目立ちます。そこで減税を断行し、物価高対策をしているというアピールをすべきだ、というわけです。

 しかし問題は、消費減税がほんとうに物価高対策になるのか、ということにあります。たんに効果がないだけなら、まだいいでしょう。しかし、減税がさらなる物価高を誘発し、そのうえ5兆円の歳入が失われるとしたら、目も当てられません。私たちの生活をさらに追い込むための減税になってしまいます。

円安が続くかぎり物価は上がり続ける

 ここで原点に返って、高市内閣がなぜ、2年間に限定した飲食料品の消費減税を検討しているのか、考えてみましょう。高市総理が先の衆院選で「悲願」だとして公約に掲げたのは周知のとおりで、目的はいうまでもなく、物価高に苦しむ国民の負担緩和です。しかし、税の負担がいくら軽くなっても、減税分を上回る勢いで物価が上がってしまっては、意味がありません。物価高による負担を緩和するには、物価高の原因にメスを入れ、物価が上がらないように対策をほどこすことこそ先決のはずです。

 では、物価はなぜ上がり続けるのでしょうか。原因はいろいろあるとはいえ、圧倒的に影響が大きいのは円安です。日本は国際的にも輸入への依存度がきわめて高い国で、たとえば食品の62%(カロリーベース)、エネルギーの84%を輸入に頼っているからです。

 テレビのニュースなどでは、円安のために輸入牛肉がどれだけ上がった、などと報じることが多いので、誤解が蔓延しがちです。円安で価格が上昇するのはすべての食品です。国産の肉だって飼料は70~80%を輸入に頼っているし、育てたり運んだりするのに輸入されたエネルギーを使います。コメだって肥料は70~80%が輸入され、農機具を動かすには輸入エネルギーが必要で、袋も多くは輸入された石油でつくられています。

 とにかく、私たちの衣食住がどれだけ輸入に依存しているか、ということです。衣類にしても輸入率は99%で、国内メーカーの製品もほとんどは海外で生産されています。綿花や羊毛などの原料にいたっては、自給率はほぼ0%です。あとは推して知るべし、という状況で、私たちの全方位がくまなく輸入に依存していると思ってまちがいありません。だから円安が続き、さらに進み続けるかぎり、物価は上がり続けるのです。

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