「目が合ったのにあいさつも会話も…」“点滴に大便”事件 職場で孤立した51歳看護師の見えない人物像
定まらない人物像
県警詰め記者が続ける。
「逮捕時の容疑者はおとなしそうな印象でした。病院の会見でも“非常に丁寧に話す方で、仕事ぶりも丁寧だった”との評価でしたが、看護師になるまでは両親にかなりの迷惑をかけてきたとみられます。日テレの『真相報道バンキシャ!』が、准看護師学校時代の同期の証言で、彼女がタバコや酒、素行不良などで退学になったと報じたのです」
ほかのメディアも、古川容疑者の中高時代、看護学校時代の知人の声を紹介。真面目な優等生だったと評される反面、気性が荒く攻撃的な物言いをしていたという述懐もある。
本誌(「週刊新潮」)の取材結果も同様で、けっきょくは、彼女の人物像が定まらないという点が浮き彫りになった。
いずれにせよ、と県警の幹部が言う。
「被害者に関する不満をどれだけ漏らしていたか。それを突き詰めないと、“本当に看護を巡るトラブルだけで、こんな形で患者を殺害するだろうか”といった疑問が拭えません。逮捕するための証拠や状況は十分にそろったものの、被疑者が否認しているので“直接的な動機”が分かっていない。だからこそ、逮捕後も病院関係者への聞き取りを継続しているのです」
だがどうやら、聞き取りから得られる情報はさほど多くなさそうだ。
「警察の方には、なにも分かりませんとしか言いようがありませんでした。彼女とは多少面識があるだけで、院内ですれ違えばお辞儀をする程度。私は亡くなった患者さんの担当でもなかったですし」
と、柏たなか病院の看護師が重い口を開いた。
「一度、南柏駅前で、彼女がタクシーに乗るところに居合わせたことがあります。2~3メートルの距離で目が合ったのにあいさつも会話もしませんでした。多くの同僚がそんな感じだと思います。担当する患者さんが同じとか、夜間当直が一緒になったりしても、職場で個人的な思いまで話しません」(同)
職場では新米、周りは年下
古川容疑者の場合はなおさらで、
「看護師として15年のキャリアがあり、年齢も50歳前後で入ってきたわけです。350人ほどいる看護師の平均年齢は40歳前後。病院に隣接する看護師寮に入っている子もいます。入寮組であってもなくても、勤務のシフトを調整して飲みに行ったり、一緒に旅行することもありますよ」(前出の看護師)
事件後に同僚から聞いた限りでは、
「彼女を誘った人やグループはありませんでした。つまりプライベートな付き合いをしたり、職場の外で仕事の愚痴を言い合える同僚は皆無だったのでは。で、職場では新米でも、周りはみんな年下。そのような環境では不満を一人で抱え込むしかなく、次第に思考がとんでもない方向にいってしまったのでしょう」
古川容疑者は心に底知れぬ闇を抱えつつ、職場と実家を往復する日々を送っていたのだろうか。柏たなか病院に入り、会田さんの看護を担当する前と後で、様子は違ったのか。
母親に話を聞こうとしたが、
「なにもお話しすることはありません。まだ、なにも決まっていませんから」
その間、父親は一言も発せず、傍らで沈痛な表情を浮かべていた。




