なぜいま? プロ野球で“スポーツ振興くじ検討”報道の意味 “予想”を排除したランダムな設定であれば“健全”なのか
MLBは年間100億円分配金を受け取っている
そもそも、非予想系のくじは面白くない。当たった場合の分配率が競馬は約70%~80%だがtotoは50%。そのため配当も少ない。先のW杯の時、WINNERで「日本優勝!」に賭けても、配当はわずか10倍。歴史的、奇跡的優勝を的中させて10倍では賭ける気も失せる。ギャンブル性を排除し、八百長や依存症の懸念を抑制すれば妙味も売上も落ちる。予想する楽しみもなければ、配当も少ない。それが現行のスポーツ振興くじだ。
オーナー会議は、「健全さ」を高らかに謳って面白味を削ぎながら、他方では「財源確保」と意気込む。矛盾というか、筋が通っていない。
読売新聞の記事がさらに伝えているとおり、
『日本プロフェッショナル野球協約では、八百長(敗退行為)や野球賭博を禁じている。南場議長は、「スポーツベッティング(賭博)は違法であり、予想に関わるものには参加しない」と述べた。』
違法なのは法律が整備されてないからだ。totoもJリーグ発足に合わせて法律を作り、合法となった。スポーツベッティングも海外の制度を参考に法律を作れば合法になる。
MLBはスポーツベッティングの運営業者と提携し、すでに毎年100億円を超える分配金を受け取っていると専門家から聞いた。MLBはしっかり合法的な“賭博”と関わっている。WBCだって賭けの対象になっている。そんな大会に「予想を断固拒否する」日本が出場し続けていいのか? 世界のスポーツはすでに合法的な賭博の渦中で存在している。
日本人の掛け金は6兆円超
しかも、日本のプロスポーツも海外のベッティングサイトでは賭けの対象になり、非合法であるにもかかわらず、多くの日本人が参加していることは以前にもこのコラムで書いた。なんと、「日本人が海外のサイトに違法に賭けている金額が昨年だけで約6兆4千億円にのぼる」と、エコスポーツ推進協議会が報告している。いまさらプロ野球がtotoに参加したところで、世界的な大きな潮流の中で、これが歯止めか風向きを変える影響力を持つとオーナーたちは本気で考えているのだろうか?
私は7月2日夜、ABEMA Prime(AbemaTV)に出演し、スポーツベッティング導入について熱く議論した。その中で、タレントのパックンが「スポーツは大好きだけど、ベッティングの導入には断固反対」として、アメリカの利用者の危うい現状を克明に話してくれた。とくに「運営業者が最初に無料クーポンを提供し、当たったりすればそれですっかり虜になって抜けられなくなる」という話に胸を衝かれた。確かに、業者にとっては商売だから、顧客を熱くする策を講じてくる。業者の倫理感や姿勢にもよるだろうが、「セーフティネットがかかるから心配ない」という宣伝文句を鵜呑みにしてはいけない、導入について真剣に考え直す必要があると思い至った。
その矢先のオーナー会議の決定だから、なお疑問符が頭に浮かんだ。背後にどんな思惑がうごめいているのか? この件に関して大きな影響力を持つ企業の意向がおぼろげに浮かんで見えた気がした。
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