ちゃんぽんや皿うどんにつぐ名物に? 長崎県松浦市が「アジフライの聖地」を宣言した理由 “揚げたてアツアツ”だけじゃない圧倒的な美味さを裏づける“厳格なルール”
漁獲の優等生、ダントツは松浦港
マグロが獲れすぎて困っているとか、サンマやイカ、サケが歴史的な不漁だとか、ここ最近の海洋環境の変化もあって、メジャーな魚の資源動向が話題となっている。そうしたなか、安定した生産量を誇っているのが、今が旬の「アジ」だ。梅雨時から夏場のアジは、脂が乗っておいしいと言われ、刺し身はもちろん、塩焼きや干物なども人気だ。加えて多くのファンがいるのは、「アジフライ」であろう。千葉県や神奈川県の漁港付近で定番料理となっているだけでなく、近年、長崎県の松浦市が「アジフライの聖地」として名乗りを上げ、頭角を現しつつある。なぜ「聖地」とまで言えるのか、その由来について探ってみたい。【川本大吾/時事通信社水産部長】
【写真を見る】えっ、アジフライ? 見慣れた扇形ではない“聖地”の逸品。サクッとした衣に包まれたアジの身は肉厚でふっくらしている
まず、数ある魚フライのなかでも、アジフライの特別感を確認しておきたい。魚介の揚げ物といえば、エビフライ、カキフライ、そしてイカフライなどが代表的。タラ類や南方系の魚・ホキなどの「白身魚のフライ」もポピュラーだが、アジフライは単独魚種の魚フライとして圧倒的に知名度が高く、根強い人気を誇っている。
そんな魚フライの代表格・アジは、他の魚と違って実に安定的な漁獲量を継続している。他のメジャー魚が豊漁・不漁に振り回されるなか、極めてありがたい魚種といえる。
農林水産省の漁獲データによると、全国のアジ生産量は、2025年までの5年間、8万2000~9万9000トンの間で推移している。ちなみにこの5年間で、サケは7割減、サバは4割減となっていることを考えると、安定感が際立っていることが分かる。
それでは、最もアジの水揚げが多いのはどこだろうか。水産記者にとっても難しいクイズだが、これが何とダントツで長崎県。漁港別では同県の松浦港である。松浦市などによると、昨年1年間のアジの水揚げ量は、松浦港が約1万5000トンでトップ。次いで長崎港が約1万トン、佐賀県の唐津港が約7000トンと続き、4位は再び長崎県の佐世保港である。
さらに昨年首位の松浦港は、過去10年で8回におよぶ“日本一のアジ漁獲量”を記録している。残り2回のトップは長崎港なので、長崎県が日本を代表するアジの主産地であることを証明している。
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