殴り、蹴り、逆さ吊りでマットに押し込んで3時間…1993年「山形・中1マット死」事件で賠償命令 加害少年たちの「残酷」と悪質なアリバイ工作 

国内 社会

  • ブックマーク

電話にしがみついて…

 有平君の死を知って、まさか死ぬとは思っていなかったと名乗り出るのなら話はわかる。それとは全く反対で、口裏を合わせてアリバイ工作をするとは言語道断ではないか。テレビの刑事ドラマの影響かもしれないが、年端もいかない中学生が考えるとは思えない。

「犯行に加わった生徒の中には電話にしがみついて、他の生徒に“一緒だったよな”と強要したり、一人は女友達にあの日はデートをして、何処へ行って、こんな会話を交わしたことにしておいてくれと指示したようです」

 と、先の地元記者は話す。口裏合わせがあったものの、捜査当局はいじめに加わった7人を断定し、18日に傷害と監禁致死容疑で明倫中の2年生3人を逮捕、14歳未満の1、2年生それぞれ2人を補導した。逮捕と補導の違いは年齢によるもので、14歳未満は“触法少年”と呼ばれ罪を問うことが出来ない。触法少年は少年院や教護施設に送られたり、児童相談所に送られた後、児童福祉司の指導を受けたりすることになる。

行為の重大さがわからないものも

 捕まった7人のうち補導歴のある生徒は1人。残る6人は農家や商店主、サラリーマンなどの子供で、なかには成績のいい者もいたという。

 また、彼らはいわゆる非行グループではなく、たまたま一緒になって有平君に暴力をふるったようだ。

 取り調べを受ける彼らは、これが警察も舌を巻くほどのしたたかな態度だという。

「心を入れ替えたとか、自首したとか、そんな生易しいものではありませんでした」

 と、副署長は語る。

「基礎捜査を地道に積み重ねて、状況証拠をきちっとおさえた上で本人たちにあてて、認めさせたというか、認めざるを得なくさせたということでしょう。現在でも犯行を否認している者もいるし、反省している者、ほどほどに反省している者、人それぞれです。全員がきれいさっぱり認めている状況ではない。若いせいなのか、自分のやった行為の重大さが分からないのもなかにはいますね」

 ***

「週刊新潮」2002年10月24日号では、加害少年たちの調書から、有平君をマットに入れた際のこんな台詞も報じている。

「中さいれっぺ」
「児玉。ここならだれもいない。さっき見た金太郎やれ」
「本当にむかつく野郎だじゅ」
「児玉、軽い。マットに入れるべ」
「入れっぞ」

 実におぞましい事件である。

 しかし、これだけの悲劇を起こし、前述の通り、少年審判の抗告審で全員に「関与」を認める判決が下されても、昭平さんらが起こした損害賠償請求訴訟で賠償が命じられてもなお、元少年の一部にはそれに応じないものがいる。

 彼らとは一体何者なのか。「週刊新潮」では事件から12年後の2005年、少年たちの“その後”を取材している。【後編】では、その記事を再録する。遺族に対し、元少年の親族が放った“信じがたい言葉”とは――。

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。