要介護の母の体に「つねられたような痣」、妻を見るとおびえて…それでも離婚できない50歳夫が年下女性と続ける「ベッド以外のデート」
「ベッド以外のデートを」
彼女は笑いだしたという。なんて正直な人なの、と。それからいろいろ質問され、彼は妻への複雑な気持ちまですべて話してしまった。話したら、とてもスッキリしたという。
「じゃあ、ベッド以外のデートをしようと彼女が言い出しました。時間を作るのは大変だろうから無理のない範囲で。私もあなたのことが好きだけど、ベッドを共にしなければ保てない関係ではないとも思うって。すごいことを言う人だと感激しました」
以来、時間を作っては映画を観に行ったり、ときには童心に返って動物園に行ってみたり。限られた時間だからこそ、「何かを共有したい」という気持ちが強い。もちろん、そうやってともに過ごす時間が増えれば増えるほど、剛徳さんは佳菜子さんを好きになっている。
「ときどき悶々として眠れないこともあります。こうしている間にも彼女を好きになる男が出てきてさらわれてしまうのではないかと。恋人という関係になれないとすれば、いつ彼女の気持ちが変わっても不思議はない」
後ろ暗い関係になりたくない、子どもたちに嘘をつきたくない、妻に突っ込まれたときに下を向くような態度をとりたくない。彼にはさまざまな「自分の中の決めごと」がある。そしてなにより「結婚したら離婚したくない」という思いが強い。離婚家庭で育ったからなのだろうが、離婚したとはいえ、剛徳さんの両親の関係は決して悪くはなかったはずだ。
「両親はお互いにずっと惹かれ合っている面、許し合っているところがあったんでしょうね。だけど僕と由利の場合は、そういう関係ではない。法で縛られているからこその夫婦であって、離婚したら彼女は絶対に子どもとは会わせてくれないと思う。子どもたちに不自由な思い、寂しい思いだけはさせたくない」
下の子が20歳になるまでは
下の子が20歳になるまではと彼は思い続けている。あと4年だ。長年続いた妻との「仮面夫婦状態」は変わらないままだろうと彼は言う。彼から修復するきっかけを作るつもりはないし、そもそも何を修復したらいいのかもわからない。その場その場でクリアにしておくべきだったことも、今となっては山積しすぎて手をつけられない。そして今も、妻は金曜日の夜は遅くなることが多い。「どうして遅いの?」と聞くタイミングはとっくの昔に過ぎてしまった。
「佳菜子さんへの気持ちは、妻からの逃げではありません。佳菜子さんが本当に好きだし、できれば男女として関係を育てたい。でも……というところでずっと悩み続けているんです。彼女は『もう悩まないで。なるようになるわよ』って。彼女との時間だけは大事にしながら、子どもたちの行く末をサポートしたい。今はそれがいちばんの願いですね」
少し眉間にしわを寄せながら、「すみません、こんな話で」と恐縮していた剛徳さん。今後、いい方向に進んでいけますようにと祈るような気持ちで見送った。
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妻と離婚せず、佳菜子さんとも一線を越えないまま、剛徳さんは子どもたちが成長する日を待っている。記事前編では、両親の離婚を経験した少年時代から、母との同居を受け入れた由利さんと結婚し、妻への違和感を抱くまでを紹介している。
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