要介護の母の体に「つねられたような痣」、妻を見るとおびえて…それでも離婚できない50歳夫が年下女性と続ける「ベッド以外のデート」
にこやかに穏やかに人を脅していく
剛徳さんはときどきホームを訪れて、車椅子に乗せて母を散歩させたが、由利さんは1度、顔を見せただけだった。実はそのとき、母が目を見開いて怖がったのを剛徳さんは目撃している。
「離婚も考えましたが、もし由利がひとりで子どもを育てることになったらと考えると、ちょっと怖くて離婚できなかった。由利はにこやかに穏やかに人を脅していくタイプだと思うんです。僕にはあまりそういう面を見せなかったけど、母にはそんな対応をしていたんでしょう。おそらく子どもたちにも似たような圧をかけているんじゃないかと思いました」
それからは子どもたちに積極的に話しかけ、何を考えているのか知るように心がけた。そのうち子どもたちのほうから「おかあさんのこういうところが嫌だ」といった気持ちを聞くことができるようになった。それとなく由利さんに話してみるが、彼女の心に届いているとは思えなかった。
「やっぱり根本的に合わないんだと感じるようになりました。妻とはそのころからどんどん気持ちが離れていっている。金曜の夜など、妻は遅く帰ることもありました。僕が早く帰って子どもたちと食事を作って一緒に食べるのがけっこう恒例になって、子どもたちは『今度の金曜日は何作る?』なんて言ってる。金曜日は、母親が仕事で遅くなるものと決めているかのようでした。妻にとっては、それもイラつく種だったのかもしれません。むしろあえて金曜日は早く帰らないと決めているみたいでした」
話し合ったほうがいいと思う時期は過ぎていた。このまま子どもたちの成長を待つしかないと剛徳さんは妻との接触をむしろ避けるようになった。
仕事相手との再会で…
「1年ほど前のことです。そのころから現場での責任者となり、ストレスもたまっていました。ある平日の夜、帰宅途中の乗換駅で降りてぶらぶら歩き、いい感じのバーがあったので入ったんです。気に入ったので、それから週に1回くらい通うようになった。いつもは1杯飲んですぐ帰るんですが、あるとき女性に呼び止められました。以前、建設現場で一緒に仕事をしたことのある施工会社の人でした。けっこう丁々発止やりあったこともあったんですよ。最後には『お互いにいい仕事をした』と認め合いましたが、印象に残る女性でした」
再会して世間話に花が咲いた。女性と話していて楽しいと思ったのは、もしかしたら人生で初めてかもしれないと剛徳さんは言った。佳菜子さんというその女性は剛徳さんより5歳年下の当時44歳。学生結婚をして出産したものの30歳で離婚、それからはひとりで子どもを育ててきたという。その子も今年大学を卒業したと話した。
「そんな苦労をしてきたとは見えないくらい明るくてパワフル。なにより正直でしたね。話していて嘘がない感じがした。つい妻と比べている自分がいました」
それから週に1度、そのバーで会うのが暗黙の約束となった。しばらくたって彼女から食事の誘いがあった。誘いを受け、剛徳さんは自分の気持ちを吐露してしまった。
「あなたのことが好きだと。だけどいわゆる男女の関係にはなれそうにない。自分が家庭に嘘をつきたくないのと、何かあったときに言い逃れができない関係をもつのが嫌なんだと。恋愛感情を持ったまま友だち関係でいたいけど、あまりに虫がよすぎるよね、と」
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