「夫婦別姓は家族の絆を弱める」のに「女性皇族は結婚しても夫の苗字を名乗れない」のか? 「皇室典範改正」の気になる矛盾点
民間人とプリンセス
「今国会は、イラン情勢とホルムズ海峡封鎖が拍車をかけた物価高騰の緊急対策や、再審法改正、そして皇室典範改正が大きな政治課題でしたが、本来は夫婦別姓もテーマとなるはずでした」
ある野党の政治家秘書はこう語る。夫婦別姓――民法は苗字(名字)を「姓」ではなく、「氏」と記しているため、正式には「夫婦別氏」と表現するが、夫婦別姓問題が国会で“懸案”となってから、実はかなりの時間が経っている。
選択的夫婦別姓を導入するための民法改正について、法務大臣から法制審議会に諮問があったのは1991年2月のこと。法制審とは「六法」と呼ばれる日本の基本法や、法務に関する重要事項を審議する法務省の附属機関である。裁判官、検察官、弁護士の法曹3者と大学の法学部教授など、各種法学者ら法律家が議論を交わし、改正法案の原案をまとめている。
選択的夫婦別姓の問題は5年に及ぶ激論の末、1996年2月、婚姻時に夫か妻の苗字へ統一するか、各自がそれぞれ別の姓を選択することを可能にし、別姓にする場合、生まれて来る子供の姓についてはあらかじめ一方に統一することを決めておく仕組みを、ようやく答申としてまとめている。
法務省はこの答申に基づき、民法改正案を1996年と2010年に提出しようと試みたが国会サイドの“抵抗”の前に結局、一度も法案として提出するに至っていない“いわく”つきの懸案なのだ。家父長制度を柱とする、旧来の家族観の堅持を求めている「岩盤支持層」と呼ばれる保守的な支援者らの意見を重視する自民は、国会での審議を忌避。
前出の立民関係者は「自民さんは別姓の是非を話題にすることからさえも逃げている印象です」と指摘する。その上で「だからこそ、今国会でも議論の俎上に載せることすらできなかったのです」と語る。夫婦別姓に反対する保守層は「姓が違えば『家族の一体感』が失われる」と訴えており、与党全体でもこの意見を踏襲している。
「家族全員が同じ苗字を名乗ることで『一つの家族である』という帰属意識を共有することとなり、夫婦間の絆や親子の連帯感が強まるというのが自民さんの主張ですが、その自民さんが女性皇族と、その夫や子供の身分を分離すべきと主張しているわけです。結婚後の女性皇族の家族には一体感は必要がないと言っているのと同じです。自己矛盾の極みです」(同)
夫と妻は苗字が同じであるべきだが、身分には民間人とプリンセスという格差があっていいというのでは、確かに自己欺瞞を通り越してご都合主義と言うべきだ。
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