ひこにゃん「生みの親」が明かすキャラクタービジネスの実態…いまもクリエイターは「とんでもない低価格で、クライアントに著作権が渡る契約をつきつけられています」

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 イラストレーター・キャラクター作家のもへろん氏は、ご当地キャラクターでもっとも知名度の高い「ひこにゃん」の“生みの親”である。数々の人気キャラクターを生み出し、そのキャラクターの人気が世界に広がっているもへろん氏だが、国が旗振り役となって進めるコンテンツ産業の推進については、疑問を呈することも多い。

 それは、コンテンツを生み出すクリエイターに対する支援や、様々な法整備が十分ではないためだという。事実、クリエイターの仕事を軽視する例も後を絶たない。昨今になって議論が再燃している徳島県の新ホール建設問題では、世界的建築家の石上純也氏に対する県側の冷淡な姿勢が問題になった。

 もへろん氏は、クライアントとのトラブルに巻き込まれるだけでなく、ネット上では誹謗中傷などの理不尽な攻撃に遭うことも多かった。そうした苦難を経験しながらも、今なお魅力的なキャラクターを生み出し、最近では現代アートの分野にも挑戦を行っている。もへろん氏は、コンテンツの未来をどのように見ているのだろうか。【取材・文=山内貴範】(全2回のうち第2回)

クリエイターに対して正当な対価を

――コンテンツ産業の推進には、クリエイターがのびのびと活躍できる環境を整備することが不可欠だといわれます。具体的には、どのようにすべきだと考えていますか。

もへろん:クリエイターがモノを作るということの意味が、もっと理解され尊重されること。そして、芸術活動が、人が生きる道の一つとしての理解が深まることでしょう。残念ながら、現状、クリエイターの扱いは酷いものです。ビジネスの輪から外されることも、多く存在します。権利を自衛する手段すら乏しいものです。

 しかし、逆境の中でも、クリエイター一人一人が声を上げていくことが必要になると考えます。その結果として、社会全体が、クリエイターに対して正統な対価と権利を保障することを望みます。

――様々な契約も、明らかに企業側に有利に作られることが多い。100万円程度で依頼された挙げ句、著作権もすべて取り上げられてしまう案件もあると聞きます。

もへろん:いやいや、100万円“も”もらえたら、相当にいい条件ですよ! 実際はとんでもなく低い金額で依頼され、そのうえ著作権までもがクライアントに渡る契約をつきつけられる。しかし、生活のためには、悔しいけれど、向こうの要求を呑んで売り切らないといけない。こうした苦しい状況に見舞われているのが実情なのです。

 これが契約をとりまく現状で、この状況下では、財産権も人格権も実際に機能していません。こんな現状に対し、クリエイターはもっと声を上げないといけないと思います。

――私は個人的にもクリエイターと呼ばれる方々と親交がありますが、そういった日常的な付き合いのある人は少数派でしょう。だから、クリエイターの実体がわからないし、“遊んでいる人”みたいな印象を持たれがちなのかもしれません。いろいろな業界の人に、仕事を知ってもらう機会を作ることも重要ではないでしょうか。

もへろん:クリエイターは何かとSNSに没頭する人も多いと思いますが、いろいろな分野の人とリアルな交流の機会をもつことが大事だと感じます。例えば、SNSでは誹謗中傷のコメントが飛び交っているじゃないですか。でも、SNS外の人と付き合ってみると、そんな酷い言葉を言われることなんて、ないですよね。

 実際、面と向かい合った人に対して、SNS内のような凶暴性を発揮できる人などいませんよ。世間というものは、意外と表に立つものに対して寛容であったりします。もちろん非道な人はいますが、たくさんの人の中から自分に寄り沿ってくれる人を知ることは勇気にも繋がります。内向的になりがちなクリエイターにとって、非常に重要なことです。

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