京都タワー「たわわちゃん」をめぐって運営会社を提訴…「ひこにゃん」生みの親が語るクリエイター軽視の風潮「いまだに著作権を主張することが“わがまま”と捉えられる」

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契約書が存在しなかった

――もへろんさんは、20年以上前にネットでボコボコに叩かれたことがあります。当時、もへろんさんが意見を発信すると、ネット上で「イラストレーターが偉そうなことを言うな」などと言っている人がいましたし、誹謗中傷のコメントも多かったことを覚えています。

もへろん:大前提として、20年以上前はネットもそうですが、デザイン業界もかなり酷い状態だったのです。企業間の仕事においても、契約書というもの自体が存在しないケースが多かった。私の仕事は大阪中心だったので東京がどうだったのかはわかりませんが、少なくともこちらでは、契約書の話を持ち出すとクライアントから切られてしまうケースが多々あったのです。

――それはあんまりですね。

もへろん:著作権の話を持ち出すところとは仕事をしない、別のところに頼む、という話もありました。「そんな著作権なんて、大したことがないものに権利なんかない」などと言われたことがあります。しかし、我々も生活をしなければなりません。泣く泣く、契約書もなく、口約束で権利も有耶無耶なままで進めないと、仕事が成り立たない状態でした。

 私の父も大手の広告代理店と仕事をしていましたが、やはり契約書はありませんでしたし、デザインやイラストを提出すると、勝手に改変されて使い回されるのが日常茶飯事でした。こういったデザイン業界の問題は、最近だとSNSの広まりによって、かなり知られるようになってきたと思います。

――今は、もへろんさんに味方する人も増えています。昔とは状況が変わりつつあるように思えます。

もへろん:私は、幼少期から両親の経営するデザイン会社に出入りしていて、創作もしていたので、著作権のことは真剣に考えて創作をしていましたが、一般の方は、日常生活のなかで「著作権ってなんだろう?」と考える機会はほとんどなかったでしょう。そもそも、世間の著作権に対する認識が浅かったのも、そのためかもしれません。

 私が20代の頃は、メディア関係者でも著作者人格権を知らずにいて、愕然としたものでした。現在はSNSの普及によって、個人でも著作権というものを認識し始めたという印象を受けます。そして、様々な個人や団体などの活動もあってか、最近はクリエイターの権利、著作権、契約書などの話が整理されてきたと思います。これはSNSが普及して、良かった点ではないかと考えています。

第2回【ひこにゃん「生みの親」が明かすキャラクタービジネスの実態…いまもクリエイターは「とんでもない低価格で、クライアントに著作権が渡る契約をつきつけられています」】では、「ひこにゃん」の生みの親である人気クリエイター・もへろん氏に、クリエイターに対する社会からの扱いの現実についてや、そうした現状に対してクリエイターがなすべきことなどについて伺っています。

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