京都タワー「たわわちゃん」をめぐって運営会社を提訴…「ひこにゃん」生みの親が語るクリエイター軽視の風潮「いまだに著作権を主張することが“わがまま”と捉えられる」
イラストレーター・キャラクター作家のもへろん氏は、ご当地キャラクターのなかでも特に知名度の高い「ひこにゃん」の“生みの親”である。数々の人気キャラクターを生み出してきたもへろん氏だが、このたび京都タワーの運営会社を相手取って裁判を起こした。自身がデザインした京都タワーのマスコット「たわわちゃん」の版権使用料を巡り、「長年にわたって不誠実な対応をされたことが大きな要因」という。
日本は世界屈指のキャラクター王国、コンテンツ大国といわれる。日本から発信されるコンテンツは世界的な人気を誇り、コンテンツ産業の市場規模は3兆円を超えるという。昨今の隆盛を受けて、国もこれを基幹産業に据えようとしている。しかし、クールジャパン関連の支援がアニメ制作の現場に届いていないことが問題視されるなど、肝心のクリエイターに対する支援が十分であるとはお世辞にも言い難いのではないだろうか。
もへろん氏は10代の頃から20年以上にわたって、キャラクターの創作を中心に活動してきた。しかし、そのたびに直面するのは、キャラクター、そしてクリエイターに対する企業側の不誠実な対応なのだという。今後の活動にも大きな注目が集まるもへろん氏に、クリエイターの立場から、キャラクタービジネス、創作、そして生成AIなど幅広いテーマについて思うところを聞いた。【取材・文=山内貴範】(全2回のうち第1回)
【写真】「ひこにゃん」「たわわちゃん」だけじゃない 人気クリエイター・もへろん氏が手がけてきた愛くるしいキャラクターたち
トラブルに直結しやすい案件とは
――もへろんさんは、これまでに自治体や企業など、数多くのクライアントと仕事をされ、創作したキャラクターは幅広い人気を博しています。と同時に、様々なトラブルに直面してきたクリエイターでもあるわけですが……。
もへろん:現在進行形で、いろいろなことが起こっています。ただ、基本的に、トラブルに発展しやすい案件には共通点があると思っています。一言で言えば、クリエイターおよび著作権(財産権及び著作者人格権)への「理解の深度」が関係しています。
――もへろんさんは、以前からクリエイターの権利、とりわけ著作権を重要視する発言をたびたび行っています。
もへろん:私は「著作権(財産権及び著作者人格権)」は、クリエイターにとってもっとも大切な権利と考えます。特に著作者人格権に関しては、人命に通じる、もっとも尊重されるべき権利だと思っています。にもかかわらず、様々な場面でそれらが軽んじられることが本当に多いんですよ。
例えば、「ほかにも大事なことがあるなかで、なぜ著作権がそこまで重要なのか」「自分の主張ばかりだ」という意見に晒されることがあります。「わがまま」と捉えられることが多いのです。
――クリエイターを大切にしてくれていると感じるクライアントは、具体的にどんな対応をしてくれるのでしょうか。
もへろん:まず、クリエイターを「著作物を生み出す」存在として尊重する意識があります。具体的には、著作権を尊重して大事に扱うか、それともビジネス上の障壁として扱うかですが、この点を明確に契約書に表してもらえるかどうかが、お互いの信頼を得るうえでの一番の分かれ目でしょう。
基本はお互いの権利を侵害し合わず、協力していける契約を結べることがベストですが、それでも、何が起こるかわからないビジネスの中で、様々な問題や軋轢は起こります。その時、クリエイターが創作を行うことに対して、敬意をもってくれているか。具体的には、我々の申し入れや意見を、対等な立場で聞いてくれるか。それによって問題の展開は大きく変わります。
このあたりの意識はクライアントによって明確に差があるし、分かれていると感じます。そして、私は、コンテンツを作る人たちの社会的地位がまだまだ低いと思っています。
[1/3ページ]


