いまやショッピングモールや商店街の空きテナントは「カプセルトイ」ばかり…“ガチャガチャ屋さん”が急増する日本特有の不動産事情とは

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置いておけば勝手に稼いでくれる

 2022年、自社で管理するビルの1階にカプセルトイのコーナーを設けた、東京都内の不動産会社の社長A氏がこのように話す。

「カプセルトイは店員を置く必要がなく、放置していても勝手にお金を稼いでくれる。設置も撤去も楽なので、本当に便利な存在です。当時は空きスペースにカプセルトイを設置する同業者が増え、重宝されていたことがわかります。なお、うちの場合は、置いてみたら想像以上に売り上げがよかったため、現在に至るまで設置を続けていますね」

 コロナ禍は既に終息し、2023年にはコロナが5類になって、事実上特例扱いされることはなくなった。日経平均株価も過去最高を更新し、コロナ禍とは比べものにならないほど経済活動は活発になっている。にもかかわらず、カプセルトイの設置台数が増えている。その原因は何なのだろうか。A氏がこう打ち明ける。

「簡単な理由です。テナントを募集しても、埋まらないからです。最近、物価高が続いているにもかかわらず、テナントビルばかりが建設されています。テナントの入店を見込んで建設したものの、一向に埋まらない新築物件も多いんですよ。建設費もコロナ禍前の倍近くになり、物価高も起こっているので、必然的に賃料が上がってしまう。しかし、賃料を上げてしまうと、入れるテナントは限られてくるという悪循環に陥ってしまう。

 そこで、テナントが埋まるまで、やむを得ずカプセルトイを置いている例が目立っているわけです。理由は同じです。実は、安定収入を謳い文句にした銀行や不動産会社の誘いを真に受けてビルを建てる人が多いのですが、建ててみたら一向にテナントが入らず、後悔する例が相次いでいるようです」

ビルはどんどん建設されているが……

 日本の人口は急激に減少している。そして、リモートを中心とした働き方がコロナ禍で普及したことによって、テナントビルの需要が大きく減少した。完全に都内のビルの需要も飽和状態であり、町を歩いていても空き物件が目立つ。

 それなのに、都心の駅前のあちこちで再開発と建設ラッシュが続いている。カプセルトイの増加は、テナントビルのニーズが頭打ちになったことで、発生した現象といえるだろう。玩具そのものは子供にも大人にも嬉しい代物ではあるが、設置している施設側の苦悩が見え隠れしてしまう。

 埼玉県内のある大型ショッピングモールは、コロナ禍前はファッション関連のテナントが充実していたが、撤退が相次ぎ、その空きスペースにはカプセルトイが置かれている。当初はいかにも穴埋めの目的で設置されている印象だったが、いつの間にか豪華な内装や看板がつけられて、常設化してしまった。池袋や新宿のある商業施設もカプセルトイだらけだが、おそらく同様の理由であろう。

 高騰が続いていた都心の不動産価格であるが、じわじわと下落が始まっているという声もある。需要が下がっているのに、新築のビルばかり建ててしまって本当に大丈夫なのだろうか。このままでは、あちこちのビルがカプセルトイだらけになってしまうのではないかと、心配になってしまうのであるが……。

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