小学校火災「ミッション:インポッシブルみたいな避難」は正しかったのか「消化活動よりまず児童を階段から逃がすべきだった」の声も

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骨折だけで済んだのは幸運

 消防関係者は「少なくともベストではなかったと思います」と語る。まず指摘するのは「避難するまでの決断の遅さ」だ。

「消火より先に児童の避難を優先させるべきだったのではないか。正確な当時の状況は把握できていませんが、男性教諭が消化器を用務員から受け取った時、廊下から階段への避難は可能な状況だったはず。少なくとも初期消火と避難は並行してやるべきだった。防火シャッターが降りた後でも、潜り戸がついていて出入りできるようになっている。避難の決断が早ければ、多少の煙があっても、口と鼻をハンカチなどで塞ぎながら、頭を低くする姿勢で逃げるよう誘導すれば、階段から無事避難できたはずです」(消防関係者)

 庇での待機については、差し迫った状況では仕方なかったとしながらも、

「人を乗せるためのものではないので危険です。築60年以上の校舎だったので、崩落していたら大惨事になっていたでしょう。3人の児童が子ども達だけで降りていたのも問題。転落した2人が骨折だけで済んだのは幸運でした」(同)

 救助袋を使えなかった失敗については、同情の余地があるという。

「小学校では月1回程度の頻度で避難訓練が行われていますが、救助袋を使う訓練はほぼ行われていません。初めて使ったとしても、落ち着いて収納されている箱に書かれた『使い方』に従えば使用できたはずですが、あの緊迫した状況では難しかったでしょう。廊下には消火器よりも消火力が高い『屋内消火栓』が設置されていましたが、それも使われていない。学校現場での避難訓練が形骸化している可能性があります。命が失われず良かったではなく、社会全体で徹底した検証を行なっていくべき事案だと思います」(同)

音楽準備室を「自分の部屋のように使っていた」疑惑

 とはいえ、こうした指摘よりも問われなければならないのは、失火原因を作った女性教諭の責任だろう。そもそも、火気を扱う家庭科室や理科室ならともかく、音楽室での出火など「避難訓練では想定外」(同)なのである。

 女性教諭は取り調べに「サーキュレーターを使って洗濯物を乾かしていた」と供述している。現場にはコードがショートし、繊維片が付着した電気ストーブが残されていた。どのような洗濯物をどう乾かそうとしていたかは不明だが、洗濯物がサーキュレーターの風で電気ストーブに落ちて出火したものと見られている。しかし、初夏にストーブで洗濯物を乾かそうとするものだろうか。

「廊下側にある音楽準備室の扉の前には楽器が置かれているなど、結構散らかっていたようです。警察は『自分の部屋のように使っていたのでは』と呆れて話しています」(社会部記者)

 校舎の相当部分が使用できなくなり、北区は建て替える方向で検討中だ。

「仮校舎への引っ越しなどを含めると、予算は数十億円規模になるのではないか。失火責任法では、失火者に重大な過失がない限り賠償責任を負わないとされており、電気ストーブで衣服を乾かす行為が重過失とみなされる可能性は低い。今後、女性教諭は重過失失火もしくは業務上失火容疑で書類送検されるとみられていますが、おそらく不起訴処分になるでしょう」(同)。

 これまで学校現場で起きたプールの水の止め忘れ事案では、過失であっても高額な賠償を校長や教諭が負わされている。被害額に雲泥の差があるとはいえ、お咎めなしで済まされていい話ではないだろう。

 北区教育委員会は取材に次のように回答した。

「建て替えや予算については検討中です。(音楽教諭の責任については)原因究明に取り組んでいるところで結果を踏まえて適切に対応していきます。(避難方法について)詳細は確認中ですが、児童の避難・安全確保を最優先にしたものと認識しています。結果として、在校していた全員の避難を確認しています」

デイリー新潮編集部

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