不倫相手はなぜか皆「1年ほど」で去っていった。後腐れなくラッキーだと思っていたら…妻が見せた“便せん”で52歳夫が知った真実

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50歳の誕生日に長女が告げたこと

 落ち着いた家庭生活が、いきなり破られたのは娘の告白だった。

「50歳になった僕を家族が祝ってくれていたその席で、長女が突然言ったんです。『妊娠している。子どもは生みます』って。家族全員、目が点でした。大学生なのになにを言ってるのと栄里が言ったのを覚えています」

 その後は栄里さんと長女が交互に言い争う声が聞こえてくるだけだった。20歳になったばかり、どういうことなんだという思いだけが尚彦さんの頭の中をぐるぐるしていた。

「ちょっと、おかあさんもおねえちゃんも落ち着いて。とりあえずみんな座ってと声をかけたのは次女でした。僕も深呼吸して、やっとの思いで『相手はどういう人なんだ』と長女に尋ねました。でも長女はしゃべらない。『今言えるのは、子どもができたから生むということだけ』って。結婚はしないのかと聞くと『相手はいらないの。子どもだけでいい』と。妻が『結婚できない相手ということでしょ』と叫びました。長女はそのまま部屋に引っ込んでしまった」

 尚彦さんの誕生日を祝うはずのホールケーキは切られないままだった。冷蔵庫に入ったそれを彼は翌日、切り分けてひとりで食べた。家族それぞれ、自分の分は食べたらしい。

「数日後、次女が栄里と僕に、『相手は55歳、アルバイト先の社長、既婚』と教えてくれました。長女は相手に妊娠したことを知らせていない。知らせるつもりもないって。それはおかしい。相手にも知る権利があるはずですからね。どうするかはふたりで話し合うしかないけど。僕はそう思ったけど、栄里は持ち前の正義心と母親としての感情が炸裂したようで、長女の部屋に乗り込んでいって『離婚させなさい。それができないなら生んではダメ』とすごい勢いで怒鳴ったんです。長女は『私が結婚する気がないの』とつぶやいた。栄里は『そんなはずない』と決めつけた。いやもっと冷静に話しあおうと言うと、なに言ってるのよとか冗談じゃないわよとかぶつぶつ言いながら、栄里は怒って部屋を出ていきました」

長女の固い意志

 その後、長女と話したが、長女の意志は固かった。既婚だとわかっていてつきあったのは自分だし、ピルを飲んでいると嘘をついたのも自分。彼の子がほしかった、それだけでいいと長女は泣いた。

「そこまで純粋に考えているなら、それはそれでいいんじゃないかと僕は思うようになりました。そういう選択肢があってもいい。相手の男の知る権利も大事だけど、娘がひとりで生む権利を尊重してやってもいいと。ただ、生まれた子に罪はないのだから、うちで大事に育てていこうという気になっていった。おかあさんはオレが説得すると長女に約束してしまいました」

 ところがストレスが大きすぎたのだろうか、その後、長女は流産してしまう。嘆き悲しむ長女に、母である栄里さんは寄り添おうとしなかった。尚彦さんは仕事を休んで、3日間入院した長女に付き添った。

「長女がぽつりと、『生まれてきても幸せになれないと思ったのかな、赤ちゃん』と言ったんです。僕も思わず泣きそうでした。『きみの思いは伝わってるよ、きっと別のときに生まれてきてくれる』と思ってもいないことを言ってしまった。その場の長女を慰めたかっただけなんですけどね。すると長女は『非科学的なことを言わないでよ』と少し笑った。あ、この子は大丈夫、きちんと生きていけるなと思いました」

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