皇室典範改正に憲法改正… 政権の“軍師”が明かす日本の行方 木原稔官房長官×櫻井よしこ
「9条に手がつけられないとなると……」
木原 高市総理は憲法改正について自民党総裁として仰っていますが、私は一議員の立場でしかお話しできません。自民党の改憲案には4項目あって、1番が「自衛隊明記」。実質的に「9条」の問題です。次に「緊急事態への対応」、「参院の合区解消」、「教育の充実」が続きます。では、この1年で何ができるかと考えれば、次の参院選は2年後までないので、与党の議席構成は変わらない。
櫻井 憲法改正は手続き上、衆参それぞれで議員定数の3分の2の賛成を経て、最後は国民投票が必要です。
木原 その通りなので、果たして1年後に「9条」改正の発議ができるのか。高いハードルがあります。衆院では可能でも、参院は自民と維新の議席を合わせても過半数に満たない。国民投票までたどり着けないなら、与野党で合意が得やすい「合区」から手をつけ改正の一歩とする。そうすれば「9条」や「緊急事態」も国民に受け入れられやすくなると思っています。
櫻井 高市総理の下、自民党の党是である憲法改正に取り組むことは高く評価します。でも約80年間待った末、「9条」に手がつけられないとなると、国民の間に失望感が生じると思います。
木原 その一方で「改正できた」という達成感も生まれると思います。次なる改正に向けたステップと、前向きに捉えることもできます。
明るいキャラクターが好印象
櫻井 前回衆院選で自民の公約だった消費減税は国民の関心が高い。1%で早期実施という話も聞こえてきますが、実際どうなる見込みですか。
木原 私からは「政府として社会保障国民会議の提言を受けて考える」としか言えないところです。ただし、高市総理は、自民党総裁になる以前から食料品にかかる消費税率を「ゼロにしたい」というご持論があった。具体的な制度設計については「国民会議」における議論の結果を待ちたいと思います。
櫻井 それこそ時間をかけたら意味がない。2年後に「給付付き税額控除」に移行すれば、再び消費税の税率は元に戻るのでしょう?
木原 党の公約では、消費減税は導入してから2年間限定という形になります。
櫻井 なるほどね。
木原 中東情勢が厳しい状況では早期の消費減税が前提ですが、1%でより早く実施すべきか、遅くても0%の方がいいのか。そのあたりを含めて国民会議で議論が進むことを期待しています。
櫻井 消費者からは“1日でも早い方がうれしい”という切実な声も出ていますが、ここでも報道の仕方が問われています。TBS系「報道特集」は“ナフサ不足で日本は6月に詰む”などと報じて、視聴者に不安が広がりました。もっと政府が分かりやすく説明する工夫をしないと“情報戦”で劣勢に立たされませんか。
木原 まさにそう感じます。そこで今年5月からは佐伯耕三内閣広報官が、SNSの「X」でアカウントを作り情報発信をしています。開始から1カ月で約10万フォロワーを獲得して、まだまだ増え続けています。
櫻井 見ている方、ものすごく多いですね。
木原 今後もメディアが取り上げない話題や、ちょっと違った角度から取り上げられてしまうテーマを中心に、エビデンスをもって正しい情報を示していきます。
櫻井 佐伯さんの明るいキャラクターが好印象を与えています。彼には「くまモン」みたいな愛される雰囲気を感じますね。きちんとした情報を発信し続けていれば、国民も理解すると思います。内閣の支持率に関わる大事な仕事ですね。大事といえば、日本の安全保障環境は激変し続けていて、先日は中国の習近平国家主席が7年ぶりに北朝鮮を訪問しました。そこで習氏は朝鮮労働党の金正恩総書記に「非核化」を求めなかったというのが大方の解釈ですよね。日本を取り囲む中朝とロシアは核を保有する専制国家。そう考えると、年内改定を目指す政府の国家安全保障戦略の基本指針「安保3文書」で「核」を論じないのなら、国民への責任を果たせるのか甚だ疑問です。
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