W杯で「強豪国」に肩を並べたサッカー日本代表…一方で「野球界」は“勝利至上主義”“監督による支配”“組織の乱立”といった旧弊に縛られたままでよいのか

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 日本代表がサッカーW杯2026で決勝トーナメント進出を決めた。グループF2位の成績以上に、確かな戦いぶりで国内外に与えたインパクトは大きかった。「日本は強い」、世界の強豪に肩を並べる最上位クラスのチームになりつつある事実を、多くの目撃者が認めたに違いない。

 サッカー日本代表を頼もしく見つめながら、野球少年として育った私は、「それに引き換え野球は……」と、ため息を漏らさずにはいられない。サッカー界は一丸となって切磋琢磨を続け、今日の勢いを実現した。しかし野球界は抜本的な改革も対策もせず、人気にあぐらをかいてきた。果たして、野球は生き残れるのか、とさえ私は危惧する。【小林信也(作家・スポーツライター)】

日本代表が強くなったのは偶然ではない

 今回の日本代表は、献身的で執念あふれるプレーだけでなく、個々のレベルの高さと意識統一された自信にあふれる組織力で相手国を圧倒している。

 長年嘆かれ続けた「決定力不足」の課題は本当に過去の幻になった。現在は、頼もしい決定力が日本代表の魅力にさえなっている。

 私が何を言いたいのか? 日本代表が強くなったのは「たまたまではない」という厳然たる事実だ。「選手個人の努力」だけでもない、「運良くタレントが揃った世代」という一過性の幸運でもない。日本サッカー界全体が、同じ目標を共有し、明確なビジョンの基に環境を築き、組織を整え、フロントと現場の指導者たちがトップレベルからジュニア世代に至るまで一丸となって取り組んできた。その結晶が現在のサッカー日本代表の雄姿だ。

 大会が始まる前、私は川淵三郎さんにインタビューする機会を得た(講談社のウェブマガジン『現代ビジネス』に掲載)。開口一番、川淵さんは言った。

「私なんかが日本代表を語るなんて、おこがましくてできないよ。いまの選手たちの方が遥かに上で、サッカーの技術はもちろん、栄養学からトレーニングからあらゆる分野の勉強をしている。だから、アマチュアの経験しかない僕はサッカーに関してはもう喋らないと決めているんだ」

 そして、「今大会は負ける心配をせずに見られる。運さえ良ければどんな相手にも勝てるというレベルに、いまの日本代表は来たんだね」と、頼もしげに語った。

 なぜ強くなれたのか? 尋ねると、川淵さんは即座に答えた。

「選手が次々に海外に行ったこと、それしかないね。僕はJリーグが出来る前、30年以上前からずっと『海外に行け!』と言い続けてきた。だって、海外のレベルを自分も身体で感じて知っているからね。海外の厳しさの中で感じなければ変わらない。それがようやく実を結んできた」

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