「戦争帰りの老ホストが、客に“日本男児かくあるべし”と…」生バンドに社交ダンス、リーゼント…歴30年のベテランが語る“平成ホスト”の異世界

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令和ホストのやり口

 令和のホストが女性を「はめる」手口はこうだ。

「今のホストは、相手を幸せにするんじゃない。“いかに心を不安定にさせるか”が勝負なんです。最初はとことん優しくして夢を見させる。でも『落ちたな』と思った瞬間から態度を豹変させる。連絡を減らして冷たくして、不安にさせる。すると相手は『嫌われたくない』『もっと会いたい』『独占したい』と必死になる。その状態に追い込んで、自分に依存させていく」

 さらに非道なのが『苦しい仕事をさせるほど客は離れなくなる』ということを、わかってやっているということだ。

「客が体を売る仕事なら、仕事で嫌な相手に遭うなどつらい思いをするほど『彼のために頑張らなきゃ』という気持ちが強くなる。でも、それは結局『不毛なやる気』。稼いだ金は生活のためでも将来のためでもなく、全部ホストに流れていく。ホストのために体を張って稼ぎ、その金をまたホストに使う。そういう循環ができあがっているんです」

 なかには、地方や海外での出稼ぎから帰国する女性を空港で出迎えるホストも。

「公衆の面前で相手を抱きしめるとか、ドラマチックでしょ? 演出なんです」

 光司さんがホスト人生をスタートさせた時代、多くのホストは社会的弱者だったという。

「社会的に弱い立場の人間が、お金持ちから金を得る手段だった。お金もなく、就職もできず、居場所もないけど、のし上がってやる! という強い思いでボクらはマダムたちからお金を引き出そうと必死だった。相手もそれをわかって楽しみ、支払ってくれた」

 ホストと客の在り方は変わった。

「現代のホストにも、当時と同じような立場の子もいるはず。でも今や、社会的弱者が社会的弱者を食い物にする時代。若い男の子が若い女の子を狙って、依存させて、搾取する。これが今のホストの手口です」

 SNSによるネットキャッチ、初回無料の来店システム、TikTokライブによる投げ銭。デジタル化によってホスト店へのアクセス方法は格段に増え、全国に9000軒とも言われる規模に膨張した。

「古き良き時代しか知らない僕からすると、もう別の業種。大人の社交場は、今はもうどこにもない」

 ホスト店がこの国に誕生して60余年。平成ホストから令和ホストまで30年を見続けてきた男の記憶には、夜の街の変貌がまるごと刻まれている。

後編記事【「細木数子先生に地獄に堕とされた」ホストが語る、女帝の怒りを買った“京都の水”事件 店を去ることになった「おそろしすぎる一夜」】では20年前の細木数子氏との因縁の夜と、光司さんがめざす未来のホストの形を語る。

美島光司(みしま・こうじ)
52歳。19歳で大阪のホストクラブに入店、その後東京の愛本店に勤務。約30年のキャリアを誇る"ホスト界の生き字引"。細木数子ら著名人との交流でも知られる。2023年にホストを引退。現在はホスト評論家として活動。YouTubeチャンネル「街録ch」への出演が145万再生を記録し話題に。X(旧Twitter):@mishima_kouj

取材・文/木原みぎわ

デイリー新潮編集部

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