「銀河の一票」はなぜ伸び悩んだのか 出色の出来なのに視聴者を分断してしまった「政治色」という避けられない壁

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

検視に疑問点

「田鎖ブラザーズ」(放送終了)も面白かった。個人視聴率は2%台半ばから3%台半ばを推移。週間ランキングでは上位に位置した。

 主人公・神奈川県警青委署刑事課の田鎖真に扮した岡田将生(36)は、往年の名優・沖雅也さんを彷彿とさせた。甘さと冷たさ、温かさを兼ね備えていた。魅力的だった。

 弟で県警捜査1課検視官・田鎖稔役の染谷将太(33)、質屋兼情報屋の足利晴子役の井川遥(49)、中華料理店店主でもっちゃんこと茂木幸輝役の山中崇(48)の演技にも引き込まれた。

 首を捻ったのは最終回に判明した兄弟の両親の死因である。もっちゃんが刺す前に晴子が有毒植物・ジギタリスで殺していたことが分かった。31年前の事件当時の鑑定ではジギタリスの成分が検出できなかった。

 ここまでは理解できる。しかし、死後に刺した場合、心臓が止まっているから、出血量が劇的に減る。また生きているときに刺されると、生活反応が出る。皮下出血したり、傷口の血が凝固したり。一方で死体は生活反応が出ない。その違いは歴然。31年前でも見逃さないだろう。

 それまでは稔が自死を装った転落死を他殺と見破るなど検視部分の描写が緻密だったから、拍子抜けした。この作品も欧米人が観たら違和感を抱くのではないか。

 欧米のクライムサスペンスは結末を観る側の心象に委ねることこそあるが、犯行手口への疑問はまず残さない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。