「イオンモールおじさん」論争で忘れられている服選びの重要ポイント ロンドン在住イメージコンサルタントの指摘は

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イオンモールのおじさんに「本当に嫌い」

 顔の美醜や毛髪の多寡についての言及は論外として、他人の容姿についてあれこれ言うことには慎重にならなければならない時代、あるXへの投稿が大きな波紋を呼んでいる。

「地方の田舎のイオンモールでよく見かけるこういう格好の人本当に嫌い」

 匿名アカウントによるこの投稿に添えられたのは「こういう格好」のAI画像。30~40代くらいの男性の見た目は以下のようなものだった。

・ブルーの長袖シャツ、ベージュのチノパン。シャツは外に出している。
・靴はスニーカー、ボディバッグを縦に下げている。
・黒縁のメガネ。

 反響を呼んだのは、多くの異論、批判が寄せられたからだ。その代表的なものをいくつか拾ってみると、以下のようなものである。

・他人の恰好をどうこう言うこと自体がおかしい。
・イオンモールに気楽な格好で行って何が悪い。
・この男性のファッションはごく常識的なものであり文句を言うのはおかしい。

 発端の投稿者自身は単に自分の好き嫌いを述べただけにもかかわらず、強い反発を招いた理由としては、以下のようなものが考えられるだろう。

・「地方の田舎のイオンモール」という言葉遣いに、どこか「地方」「田舎」「イオン」を見下した感じがすると受け止められた。
・男性の見た目がかなり一般的なものだったので、似たようなファッションの人の気分を害した。
・理由の説明がないまま「本当に嫌い」と強い言葉を用いた。

 投稿をきっかけに、議論が巻き起こり、東洋経済オンラインは「なぜ“普通の服”なのに賛否あるのか…『休日イオンモールおじさん』ファッションが違和感を生んでしまう根本原因」という記事を掲載した。ここでは「イオンモールおじさん」に問題があるわけではない、としながらも、もう少しファッションの知識をアップデートしたら、見た目が洗練されますよ、と優しくアドバイスをしている。「『服選びの基準』を少しだけ令和にチューニングする」ことを推奨するのである。

のべ1万人の「見た目」にアドバイス

 しかしそれで「イオンモールおじさん」の悩みは解決するのだろうか。本当に知識をアップデートして、「令和にチューニング」すれば事態は解決するのだろうか。そもそも格好いい人は何を着ても大抵格好いいではないか。木村拓哉は安いフリースを着ていても格好良かった。一般人の自分が流行りのアイテムを身につけたらつけたで「背伸びしている」と陰口を叩かれないか……。

 そんな悩み多き男性に向けて、アイテム以前に知っておいたほうがいいポイントは「骨格」だ、と語りかけるのがテート小畠利子さん。ロンドン在住のイメージコンサルタントであるテートさんは、顧客のファッション含めイメージに関するコンサルティングを生業としている。人に与える印象を無視すれば「損をする」との認識が広がることで、ニーズが増しているビジネスだ。テートさんの顧客はのべ1万人を超える。

 実は休日イオンだけではなく、スーツの着こなしも、スマートカジュアルも、自分の「骨格」を知ることが第一歩だ、というのがテートさんの持論。それを知ることで格段に見た目が良くなる――そんな魅力的なアドバイスを著書『知的に見える男、バカっぽく見える男』から見てみよう(以下、同書をもとに再構成しました)。

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何を基準に買いますか?

 貴方は何を基準に服を買いますか? どういう服を選んでいますか? 

 ブランド、値段、セール品、素材、色、着心地、見た目、今のトレンド
 メンズ雑誌・有名人が勧めるもの
 店員さん/妻/ガールフレンド/母/友人などに勧められるもの
 手っ取り早く買えるもの
 習慣(昔から何年、何十年、同じ系統のものを着ているから)
 欠点を隠してくれるもの(気になるお腹、足の長さなど)
 長所を目立たせてくれるもの(広い肩幅、長い足など)
 こだわりは何もない

 皆さん、それぞれの理由でお選びになっていることでしょう。そしてそれが正しいとか間違っている、ということでもありません。なぜなら、それは貴方が現在もつ価値観だからです。ご自身がそれに満足していて、身につけている服やそのコーディネートが貴方にすごく似合っていれば全く問題ありません。

 問題なのはその服やそのコーディネートが、貴方に似合っていない場合です。もしかしたら自分でも、似合っているのか、いないのか、わからなくなっている場合もあるかもしれません。

 どんな基準で服を選ぶにしても、スタイリングの第一歩を正しく踏むことが肝心です。

 その第一歩とは何か。それは「貴方の骨格を知ること」です。この第一歩は、スタイリングにおいて不可欠なことにもかかわらず、案外、見逃されていることが多いのです。

貴方の「骨格」はどれか

 私たちの骨格は、ご先祖様から受け継いだ遺伝子によって定められています。親子で顔がそっくりだったり、髪の毛の色や癖、爪の形ひとつ取っても、似ていたりしますよね。「お父さんに似て、足が長い」「おじいちゃん似ですらっとしている」。これらはご存じのとおり、遺伝が関係しているからで、身体の一部に限らず、身体全体を支える骨格も同じです。

 骨折とか整形手術などで、骨が変形することはあります。加齢や生活習慣により、背中や腰が丸くなったりすることもあります。でも成長期を過ぎ成人すれば、基本的には骨格は変わることはありません。

 貴方の体の土台を築く、この骨格を無視すると、着心地が悪いとか、見た目がパッとしない、という悩みがいつまでたっても解消されないことになります。

 ただ、人間の体は骨だけではありませんね。

「昔はこんなはずじゃなかったのに、最近太ってお腹回りが大きくなった」

「でもジムに通って筋肉をつけたら体型、変わるんじゃない?」

 こんな風に感じている方もいるでしょう。

 おっしゃるとおり体型は常に変わります。そして筋肉や脂肪がどれくらいあるかも体型を形づける重要な要素なので、考慮に入れる必要があります。

 じつはそれらは、貴方のライフスタイルの反映でもあります。何をどのように食べるか、飲むか、そしてどれくらい運動するかを日々選択しながら、貴方が作り上げてきた蓄積なのです。

 そしてもうひとつ大切なことは、生まれ持った骨格と作り上げてきた体型は切っても切れない関係にあるということです。

 中高年以上であれば、体型を変えることは若い時よりもかなり難しくなります。

 私がお伝えしたいのは、生まれ持った体格とライフスタイルも含めた貴方の体を合わせて「骨格」として認め、理解することから始めようという手法です。これがイメージコンサルティングの考え方であり基本です。

 ですから本書ではここから、骨格という言葉を、厳密な意味の骨格と体型を合わせたものとしてお話ししていきましょう。

 自分の「骨格」を正しく理解していれば、バランスの取れている部分を強調し、反対にバランスがあまり取れていない部分は、あたかも元からバランスが取れているかのように見せることができます。そのためには目をごまかし、錯覚を引き起こす「スタイリング」という技法を使用します。

 この技法は知ってしまえば、笑いが出るくらい簡単です。

 ただし繰り返しますが、貴方の骨格を知ることからすべてが始まるのです。貴方の格好良さや知的度、魅力は、自然と誰の目にも鮮明になります。もっと早くから、このことを知っていれば、こんなに苦労や損をすることはなかったのに、と思えてくるに違いないでしょう。

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 骨格を知ると言われても、人生同様骨格もいろいろなのでは――そう思われるかもしれないが、テートさんによれば実は骨格は大きくわけて3種類なのだという。後編(おじさんが「ファッションのトレンド」を追う前に知っておくべきは自分自身の「骨格」だ ロンドン在住イメージコンサルタントからのアドバイス)では、その3種類の具体的な測り方などについての解説を聞いてみよう。

テート小畠利子(テート・コバタケ・トシコ)
東京都生まれ。ロンドン在住のイメージコンサルタント。慶應義塾大学文学部卒業後、シティバンク入行。1996年、スイス系銀行UBSの為替カスタマーディーラーとして英国赴任。2003年に起業、のべ一万人の顧客の「見た目」を改善。著書に『女性を美しく見せる「錯覚」の魔法』。

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