なぜ「高校生襲撃ハンマーおじさん」はネットでヒーローに祀り上げられたのか…暴走ネット民が無関係の飲食店に“お前の息子が悪い”と「電凸」する2次被害も

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 ゴールデンウィーク中に東京都福生市で発生した「ハンマー事件」の容疑者は、どのようにしてネットでヒーローに祀り上げられたのかーー。取材を進めると、一部が暴走し、無関係の地元民に嫌がらせ電話をかける「2次被害」まで起きていたことがわかった。(前後編の後編)

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 前編【ネットでヒーローになった“刺青みっちり”「ハンマーおじさん」は警察にマークされていた”手練れの窃盗犯”だった 地元民は「高校生は暴走族でない」と減刑署名を疑問視】からの続き

「バイクに乗っていた=暴走族」

 この事件の取材をしていた新聞記者は「テレビ報道の影響が大きい」と語る。事件発生はゴールデンウィーク初日の4月29日早朝。逃走劇は5月1日まで3日間にわたって続いた。この間、テレビ各局は事件を大々的に報道し続けた。

「繰り返し流されたのは、高林容疑者の母親のインタビュー映像です。あの日、母親は取材に積極的に協力。『息子は朝5時半頃からうるさいと思っていて、怒っていた』『(たむろしていた高校生が)加害者じゃないかくらいの気持ちを持っています』などと、加害者側の言い分を語り続けた。それを流し続けたテレビにより『可哀想な母子』という印象が拡散されてしまった」(事件を取材した新聞記者)

 同時に、長年暴走族の騒音に悩まされてきた近隣住民たちのインタビュー映像も流された。だが、前編で伝えた通り、少年たちは暴走族ではなかった。ネット民を誤認させたのは「事件現場の映像」である。少年たちがたむろしていた高林容疑者の自宅前の飲食店駐車場には、少年たちが乗ってきたバイク3台が映っていた。

2階は店舗なのに「暴走族の息子が住んでいる」ことに…

「やんちゃなステッカーが貼られてはいますが、よく見ると改造されていないノーマルなバイクです。なのに『バイクに乗っていた=暴走族』と既成事実化してしまった」(同)

 そればかりか、一部の“暴徒化”したネット民たちは“新たな暴力”まで引き起こしていたのである。高校生たちにたまり場として駐車場を使われていた飲食店の主人が語る。

「私はここに住んでおらず、別の地域から通っています。出勤するのは午前11時くらいで帰るのは午後11時くらい。だからうちの敷地が勝手に溜まり場にされていたことも事件で初めて知りました」

 それなのに、この飲食店店主は“お前のところの息子が悪いから高林さんが逮捕されたんだ!”と見知らぬ者たちから抗議の電話を受け続けたと語るのである。いつしか“あの店の息子が暴走族だった”というデマが拡散されていたのだ。

「うちには息子などいないのに…。2階は店舗で座敷になっているのですが、2階に息子が住んでいるという話になっている。テレビでうちの看板がモザイクなしで流され続けたから、こっちは防ぎようがない。頭ごなしに『テメェ』『ふざけんなよ』と罵倒され続けました。1~2週間、数十件、北海道からも。一時期、店を畳もうかと思うくらい精神的に病みました」(同)

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