無敵艦隊「スペイン」を“ゼロ封”…アフリカの小国「カーボベルデ」“40歳の守護神”の奮闘に世界が震えた日
小さなおばあちゃん
実は〈ヴォジーニャ〉はニックネーム、ポルトガル語で「小さなおばあちゃん」を意味する。幼少期、両親が生計を立てるために忙しく、祖父母と暮らしていたことに由来する。カーボベルデのサン・ヴィンセント島ミンデロ市で生まれたヴォジーニャは、ポルトガルやキプロスなど、主に欧州リーグでプレーしてきた。彼はこうも語っている。
「人生で努力するのは、こういう瞬間を迎えるためだ。私は今40歳だが、25歳になるまでプロではなかった。これはこれまでの道のりに対するご褒美だと思っている」
そして、「18歳のヴォジーニャに、自分を本当に誇りに思ってほしいと伝えたい。彼は本当に努力してきた。正直なところ、子どもの頃にこんなことは夢にも思わなかったが、この試合を終えて、過去の自分に『すべてが報われた』と伝えられる」
実はヴォジーニャは、派手なタイプのGKではないようだ。ネットでこれまでの彼の評価を検索すると、「ヴォジーニャの持ち味はポジショニングと判断力の高さにある。無理に飛び込まず、シュートコースを限定することで対応するスタイルで、失点リスクを最小限に抑えるタイプのGKだ」。だからこそ、スペイン戦でも試合を通じて大きく崩れる場面はなかった、と。
またFIFAの公式サイトには、ヴォジーニャ自身がFIFAに対して、「サッカー界で自分は『ヴォジーニャ』で知られている。でも、名前の由来となったホルヘ・バルダーノとジョジマールに触れておきたい」と話したと伝えている。
ヴォジーニャの本名は、ジョジマール・ジョゼ・エヴォラ・ディアス。1986年に生まれた時、サッカー好きの父親は同年のW杯メキシコ大会で4得点を挙げ、優勝に貢献したアルゼンチン代表バルダーノの名を付けようとした。ところが戸籍係に「外国の名前は認めない」と却下された。それで次に選んだのが、北アイルランド戦とポーランド戦で素晴らしいゴールを決めたポルトガル圏ブラジル代表のジョジマールだった。生まれながらにサッカーのレジェンドの栄光を受け継いだヴォジーニャが、40歳になって自ら伝説になった。感慨深い出来事である。最後に改めて大塚氏の見解を紹介しておこう。
「カーボベルデは、アフリカの出場枠が3カ国増えた恩恵を受けたアウトサイダーと見る向きもあったかもしれませんが、予選でアフリカの大国カメルーンに競り勝ち、事前の親善試合ではヨーロッパの強豪セルビアに3対0で快勝しています。人口の少ない小国ですが、国外で生まれた選手たちをまとめ上げ、地道に積み重ね独自の方法でチーム力を育んできた結果とも言えるのです」
この後、カーボベルデは6月22日にウルグアイ、27日にサウジアラビアと戦う。いまそのグループHは、全チームが勝ち点で並んでいる。カーボベルデの決勝トーナメント進出の可能性は十分にある。



