無敵艦隊「スペイン」を“ゼロ封”…アフリカの小国「カーボベルデ」“40歳の守護神”の奮闘に世界が震えた日
組織力を見せたアフリカ勢
もちろん、ヴォジーニャひとりの快挙ではない。世界のサッカーに詳しいスポーツライターの大塚一樹氏はこう解説してくれた。
「カーボベルデの守備は組織的で、これはブビスタ監督が構築した現代的な『ブロックで守る組織的な守備戦術』が浸透している証拠でもあると思います。
一方で、しっかりしたブロックを構築した相手に、スペインがパス回しだけして攻めあぐねるという形は、過去にも見られた光景でもあります。前回大会では日本も粘り強い守備から数少ないチャンスをものにして、スペインに勝っています。
スペイン側から見れば、メッシの後継者の呼び声高いFC バルセロナの若きスター、ラミン・ヤマルと、ヤマルとは逆の左サイドからゴールに迫るニコ・ウィリアムスの両翼が負傷でスタメンを外れていたため、最後の崩しやシュートを担う人材が不足していたことも引き分けの要因と言えるでしょう。
結局、試合終盤にはこの二人が投入されますが、カーボベルデのゴールを揺らすことはありませんでした。スペイン事情を差し引いても、カーボベルデにとって素晴らしい試合だったのは間違いありません。『組織的なアフリカン』というのも特徴的で新しい」
身体能力で語られることの多かったアフリカ勢が、組織力を見せつけた意味でも新たな伝説を創ったとも言えるだろう。とはいえ、ヴォジーニャがこの快挙の象徴であることに誰も異論をはさまないだろう。
結果的に7つのファインセーブを決め、無敵艦隊にゴールを許さなかったヴォジーニャは、試合終了のホイッスルが鳴った後、チームメイトに肩を抱かれ、静かに涙を流した。テレビ画面に映し出されたその表情もまた世界に感銘を与えた。その涙の理由を、マン・オブ・ザ・マッチに輝いた試合後、英メディア『The Athletic』にヴォジーニャはこう語っている。
「試合後に涙が出たのは、子どもの頃、祖父母に育てられたから。彼らはこの場に立ち会うことができなかった。数年前に他界してしまったからだ。母もビザの問題と、その費用の都合でここに来ることができなかった。時間内に手続きを済ませることができなかったんだ」
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