茶も飲まず…27歳女性変死「疑惑のベルギー人神父」が任意出頭で見せた“異様な用心深さ”【昭和の未解決事件】
神父がフトンの下から手を入れて
しかし、捜査はなかなか進まなかった。そこで捜査本部は「ドン・ボスコ社」の内部に“協力者”をつくった。
〈仮にこの人物をA氏としておこう。A氏は、3月8日から10日までどこで何をしていたか、といういわゆる“行動表“を、神父から聞き出して作成してくれた。しかし、A氏の努力には感謝したけれども、一読してみて、このことがあると予想して作成したと思われるくらい整然としたものであった〉
A氏の行動表を信じるのであれば、ベルメルシュ神父のアリバイは一応成立していた。他方では、神父に関する黒い情報が集まってきた。
〈乳児院のある保母が入院していたとき、見舞いに来たベルメルシュ神父が、フトンの下から手を入れ、陰部にさわろうとしたが、体をかわしたのでイタズラは避けられた。また、ある保母は、神父と応接室で話し中、突然、電灯を消してキスされたという。とにかく、神父のスケベぶりが耳に入ってきた〉
愛車ルノーのタイヤを全交換
A氏作成の行動表によれば、Tさんが外出した8日、ベルメルシュ神父は夜8時に夕食を済ませ、D神父と四谷の「ドン・ボスコ社」へ。夜9時に杉並に戻り、夜10時に就寝となっているが、裏付けはない。
〈9日の夜9時半以降となると、自室に入って翌朝5時まで寝ていたことになっている。しかし、のちにわかったのだが、ベルメルシュ神父は、9日の夜9時ごろ下落合のガソリンスタンドで給油し、自室に帰って寝たことになっている。この給油はウラが取れて事実ということがわかった。しかし、夜9時以降のアリバイは依然不明のまま。
そのうちに、ペルメルシュ神父がおかしな行動に出た。椎名町の「日野ルノー」に出かけ、ルノーのタイヤをスペア含めて5本、取り替えた。むろん、たいしていたんでるタイヤでもないのに、どうしてこんな行動に出たのか。新聞が当時、犯人は自家用車を使用ウンヌンということを盛んに書き立てていた。それが、神父を刺激したのかもしれない〉
5月10日、捜査本部はベルメルシュ神父以外にTさんを殺害できる人物はいないという結論に達した。ただし、アリバイが崩れているわけではない。逮捕状が取れないため、翌11日の任意出頭となった。
[2/4ページ]

