「上司と寝ちゃった」。妻の告白に嫉妬はない、むしろ感動、惚れ直した…45歳で“0日婚”した男の女性観

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【前後編の後編/前編を読む】母の悲惨な再婚を見て育ち「僕の恋愛観はブレブレです」 “天女”、職場恋愛、アブない愛人を渡り歩いて

 岸谷匡志さん(55歳・仮名=以下同)は、10歳で父を病気で亡くし、再婚した母も継父との生活に我慢を重ねたのち、匡志さんが15歳のときに命を絶った。叔父一家の明るさに救われつつも、家族観や結婚観はなかなか定まらなかった。人妻との関係、大学時代のジャズバーで見た濃い人間模様、「愛人」と噂された年上女性への恋……短い恋を重ねながらも、「結婚」というものには踏み込めないまま、匡志さんは社会へ出ていった。

 ***

 当時はバブル崩壊後の就職氷河期に入ったばかり。留年したために、匡志さんにとってはさらに条件が悪くなっていた。

「結局、オーナーからの紹介をたどって、エンタメ関係の小さなイベント会社に入りました。給料は安かったけど、机にしがみついて仕事ができるとも思えなかったし、いずれは企画を考えて自分でイベントを作れたらおもしろいなと思って」

“ブラック”会社で見つけた居場所

 今思えばブラックな会社だった。残業、徹夜は当たり前。それでも彼は「なんだか楽しかった」という。向いていたのだろう。

「入社して3年目に、ようやく小さなイベントの企画が通ったんです。ジャズのイベントだったから、バイトでお世話になった店にも相談して巻き込んで……。誰も損しないでなんとかやり通せたのがうれしかった」

 同じ会社の2年先輩にあたる女性とつきあうようになった。どうやら彼は、身近なところで女性とつきあうことが多いようだ。

「言われてみればそうですね。僕、ナンパとか合コンとかしたことがないんですよ。どこに行っても素敵な女性はいるものだと思っていた。見ていて素敵だなと思うとつきあいたくなる。そういうことなのかもしれない。今まで、自分の恋愛傾向なんて考えたこともなかったけど」

 なにやら楽しそうな彼を見ていると、妙にいい人に見えてくる。人懐こいところがあるのだ。見ようによっては「人たらし」かもしれない。

 だが、長続きしないのも彼の特徴である。その先輩とは2年弱で別れた。彼女は転職していき、彼は会社に残った。長続きしないのは、自分が人に執着しないからだろうと彼は分析している。

「とりあえず生きていればいい。両親が早くにいなくなったから、生きてさえいれば、いつかまた会えるかもしれないと思っちゃう。世の中すべて、自分の思い通りになんていかないし、特に人の気持ちを変えるなんてできない。先輩が転職してもつきあっていたかったけど、彼女が新たな人生を送りたいというから、それじゃしょうがない、またねと別れたんです。楽しい思い出だけを残したほうがいいから」

 それを刹那的というべきか、彼の来し方を考えればやむを得ないというべきか。

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