「姓は旗本、名は退屈男だと思ってた」 三谷幸喜が長年誤解していた超有名時代劇を学ぶ

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 近年、元気がないと言われるテレビですが、その面白さに再注目してほしいと声をあげているのが脚本家の三谷幸喜さんと時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さん。1960年代初めに生まれた2人は、テレビ黄金時代の熱波を全身に浴びて育ち、仕事にまでしてしまった「元祖テレビっ子」。マニアックな番組の思い出や俳優の小ネタをショートメールで頻繁にやり取りし、その知識を共有する間柄です。

 2人が偏愛する番組と実人生への影響を熱く語り合った対談集『もうひとつ、いいですか?』(新潮社)では、大河ドラマ、海外ドラマ、刑事探偵ドラマ、ホームドラマ、追悼・西田敏行さん、1973年の6つのテーマに沿って、お宝エピソードを惜しみなく披露。

 今回は「1973年編」から、有名時代劇『旗本退屈男』をめぐる三谷さんとペリーさんの愉快なやりとりを収録したパートをご紹介します。(以下、同書より抜粋・再構成)。

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三谷 僕、「旗本退屈男」のこと、全く分からないんですが。

ペリー はい。

三谷 この人はなんなんですか。

ペリー 旗本です。

三谷 そうなんでしょう。けど、見た目が派手ですよね。これは変装した状態? それとも普段からこんな感じ?

ペリー 普段から花鳥風月キンキラキンの着物を着て暮らす直参(じきさん)旗本です。やることがないんで、周囲から「退屈のお殿さま」って呼ばれてる。で、町の人から持ち込まれた事件を見事解決する。旅の話も多くて、いろんなところに出張するんです。

三谷 へえー。

ペリー 出発時には菊の柄の着物を着ていたのが旅先では違う柄になってたりして、手ぶらのはずなのにいつどうやって着替えたのか分からない。ファンタスティックな存在なんです。着流しひとつで琉球まで行っちゃいますから。

三谷 この人に喜怒哀楽はあるんですか。

ペリー 基本笑ってますね。ホッホッホッて感じで。怒る時は「天下御免の向こう傷」と言いながら刀を抜くんですが、それも何かこう笑顔な感じで斬っていくんですよ。

三谷 ああ、やっぱり斬るんですね。それで早乙女主水之介っていうのは誰なんですか。

ペリー 早乙女主水之介は旗本退屈男の本名です。

三谷 そうなのか。僕、前にコントを書かされた時に「姓は旗本、名は退屈男」って書いたら、それは違うって言われて。

ペリー 違う違う(笑)。女性にはモテモテなんだけれど独身で、笹尾喜内(ささおきない)という、じいやみたいな側用人が、もうそろそろ身を固めたらどうかとわあわあ言うし、超まじめな妹は「お兄様が結婚するまで、私は結婚もできない」と言うのがお決まりのパターン。

三谷 現代でいうと加山雄三さんみたいな人かな。

ペリー そうかもしれないですね。かの大瀧詠一さんも主水之介のファンで、「ROCK’N’ ROLL 退屈男」という曲がありますよ。

三谷 北大路欣也さんには先日初めてお会いしました。めっちゃダンディで、めっちゃオーラがあって、めっちゃいい匂いでした。高橋英樹さんもそうですよね、お会いするとスター感というかお旗本感が半端ないんですよ。高橋さんは面白くて。大河ドラマにもよく出られるけど、高橋さんがやる大河のキャラクターって、ただカッコいいだけじゃない。みんな一癖ある感じがする。大河ドラマ『花神』でやった河井継之助なんか、カッコいいんだけど癖も強くて、この人物はもともと評価が分かれる人なんだけど、それが高橋さんにぴったりだった。

ペリー 英樹さんは、もともと日活のニューフェースでデビューしているから現代劇の方なんですよね。だから青春映画も任侠映画もやっているし、お話しすると、すごくよく時代を見ていらっしゃるなと舌を巻きます。

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※本記事は、『もうひとつ、いいですか?』(新潮社)の一部を抜粋、再編集したものです。

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