「サザエさん」執筆4本目でクビ 「“タラちゃんを大変身”はアウトだった」三谷幸喜が真相を明かす

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 近年、元気がないと言われるテレビですが、その面白さに再注目してほしいと声をあげているのが脚本家の三谷幸喜さんと時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さん。1960年代初めに生まれた2人は、テレビ黄金時代の熱波を全身に浴びて育ち、仕事にまでしてしまった「元祖テレビっ子」。マニアックな番組の思い出や俳優の小ネタをショートメールで頻繁にやり取りし、その知識を共有する間柄です。

 2人が偏愛する番組と実人生への影響を熱く語り合った対談集『もうひとつ、いいですか?』(新潮社)では、大河ドラマ、海外ドラマ、刑事探偵ドラマ、ホームドラマ、追悼・西田敏行さん、1973年の6つのテーマに沿って、お宝エピソードを惜しみなく披露。

 今回は「ホームドラマ編」から、三谷幸喜さんが『サザエさん』をめぐる因縁を語ったパートをご紹介します。(以下、同書より抜粋・再構成)。

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三谷 僕は放送作家になった頃に、水谷龍二さんという作家の方の所にいたんです。そこで『サザエさん』の作家を探していると聞いて、フジテレビのプロデューサーに会いました。ものすごく大量の『サザエさん』の原作本を渡されて、好きな話を3つぐらい選んで、うまく構成してひとつの物語にしなさいと言われ、最初に書いたのが「妹思い兄思い」という回。『サザエさん』の王道っぽいでしょ?

ペリー いい線じゃないですか。

三谷 王道の次に書いたのが「波平 つり指南」。波平さんが友達と釣りに行くんだけど、全然釣れなくて、帰りに魚屋さんで魚を買って偽装する話。

ペリー うーん、だんだん三谷さんの世界に歩み寄っている気が。

三谷 3本目が、ワカメが髪型を変える「ワカメの大変身」。で、ワカメの次はタラちゃんを変身させようと調子に乗って書いたのが「タラちゃん成長期」。タラちゃんが筋肉増強剤を飲んでムキムキになってオリンピックに出る。でもそれは夢でした、という話。

ペリー 面白そうだけど、『サザエさん』的にはアウトなんじゃ……。

三谷 その通り。すぐにプロデューサーに呼ばれて、「君は『サザエさん』の何たるかが分かっていない!」って言われて、目の前で原稿をゴミ箱に捨てられちゃったんですよ。

ペリー うわ、それこそドラマみたい。

三谷 怖かったです。「もういい」ってクビになりました。そんなわけで、僕は『サザエさん』にはちょっといろいろあったんですけれど、その後、榊原郁恵さんがサザエさんを演じるミュージカルの脚本を書きました。カツオ役は久本雅美さん。
ペリー 素晴らしいキャストだ。

三谷 さらに後に、観月ありささん主演の実写版『サザエさん』で伊佐坂(いささか)先生をやらせていただきました。

ペリー 『サザエさん』とは因縁、いや、ご縁がありますね。私、三谷さんの伊佐坂先生のこと、コラムに書いたかもしれない。ドラマ『女信長』で三谷さんが今川義元役を演じたことも何度も書いているし、結構ネタにさせていただいてます。

三谷 僕は大河の『武田信玄』で中村勘九郎(当時)さんがやった今川義元がベスト義元だと思っていて、何度も観直して、それに近づけようと頑張ったんだけど、登場したら、いきなり背中から撃たれて、川に流された。全然史実と違う。無念でした。

ペリー 泳ぐみたいに腕を動かして、ばたっと倒れるのがカッコよかったですよ。そういえば三谷さん、鎌倉殿の13人は、じつは『サザエさん』なんだとおっしゃってるそうですね。

三谷 そう。サザエさんとカツオが手を組んで、波平を追い落とす。それが『鎌倉殿』です。

ペリー 気づきませんでした。ということは、三谷大河は『鎌倉殿』も『真田丸』も両方ホームドラマだったんだ。これ、大発見です。

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※本記事は、『もうひとつ、いいですか?』(新潮社)の一部を抜粋、再編集したものです。

テレビ黄金時代の熱波を全身に浴びて育ち、テレビ界に深く関わる二人が、大河・刑事もの・バラエティなど偏愛番組の数々と、実人生や創作に与えた影響を語り尽くす。手品師のBGMはなぜ「オリーブの首飾り」なのか? 「古畑」に予定されていた幻の大物ゲストは? お宝エピソード満載のトークライブを最前列でどうぞ!

デイリー新潮編集部

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