「93歳になった今も、肺活量は40代男性レベル」 サックス奏者・渡辺貞夫が明かす健康術

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規則正しい一日

〈なにしろキャリア75年で93歳。今も新作を発表し、同時期に多様なコンサートを行う渡辺。どうしても気になるのはその健康管理だ。この取材のときにサックスを収めたケースをのぞくと、歯ブラシが一本入っていた。管楽器奏者にとって歯は命。常にクリーニングを心がけている。〉

 管楽器奏者にとって、楽器と自分の呼吸器を結ぶ口周りはとても重要です。外出中に飲食した後でも磨けるように、常に歯ブラシは携帯しています。

 実は、僕は昔から右側の歯があまりよくなくてね。若いころに金の入れ歯を作りました。でも重くて、インプラントに替えました。

 まだインプラントがほとんど普及していない時代で、親しい友人にクリニックを紹介してもらいましてね。当時は今より高額で参りました。

 ミュージシャンにとって、耳もとても大切です。なのに、実は20代からずっと右の耳が耳鳴りしています。

 昔、射撃が趣味の友人に誘われて琵琶湖まで鴨撃ちに行ったことがあります。生きた鴨を撃つなんて、今ならそんな残酷なことをと思うけれど、付き合いで仕方なく。

 そのときに友人が僕の右耳の近くで、パン! パン! と撃った。そこで鼓膜にダメージを受けて以来、右がずっと耳鳴りしています。ライブでドラマーがシンバルを鳴らす度につらかったですね。

 もう70年近くたち、耳鳴りとはうまく付き合えるようになりましたけれど。それでも、就寝するときなど静寂時は気になります。楽器をチューニングする際も慎重に合わせています。

〈渡辺の朝は早い。このインタビューの日も午前3時半には目覚めたという。コンサートのない日は、起床、散歩、朝食、練習、昼食、練習、散歩、夕食、就寝……と、規則正しい一日を送る。〉

肺活量は今でも「40代男性のレベル」

 今朝は間違えてしまいましてね。5時半かと思って起きたら、まだ3時半でした。朝は早く起きますが、昼間に何度か短い午睡を取ることで、一日のトータルで十分な睡眠時間を確保するように心がけています。

 40代の頃は毎日5キロのランニングをしていましたが、今はウォーキングです。朝は1時間弱歩く。途中の公園ではスクワットをやったり、鉄棒にぶら下がったり。夕方も1時間強歩きます。飽きないように、その日の気分でコースを変えてね。

 肺活量は、今、3300ccくらいです。毎日のウォーキングのおかげかもしれませんが、40代男性のレベルだそうです。以前は6000ccだったので、だいぶ減りましたけれど。

 食事は、朝は自分でトーストを焼いて、あとはヨーグルト、卵、サラダ、フルーツ、紅茶。昼食と夕食は娘が僕の健康を配慮して作ってくれます。

 日々の練習は1日にトータル2~3時間、ときには4時間ぐらいします。しかし、今は練習よりもリード(管楽器のネックの先端の、マウスピースにはめて、呼吸で震わせるチップ)選びにかなり時間を費やすことがありますね。

 サックス奏者にとって、リードはものすごく重要。いい演奏ができるかはリード次第。リードとの相性が良ければ音も良くなるし、気持ちも上がっていきます。ところが、自分に合うリードは10枚に1枚あるかないかなんです。だから自宅でも、ステージに上がってからも、慎重に丁寧に選んでいます。

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