エンタメ情報誌「ぴあ」復活! 創業者「矢内廣社長」インタビュー AI時代にあえて“紙の雑誌”をパラパラとめくって探す「偶然の出会い」の魅力
「とぶ!」の意味は……
「『ぴあ』自体はずっと黒字でしたが、さすがにデジタル全盛になり部数が下がってきた。赤字になるのは当然です。これ以上引っ張っても仕方ない。あまり悲惨な状況にはしたくないということで、ぼく自身が言い出して、休刊にしました。つらかったですよ」
その後、「ぴあ」は、アプリ版に移行した。
「アプリ版では、〈エンタテインメントとの偶然の出会いと発見〉をテーマに、いろいろ比較して選べたり、各ジャンルに詳しい“水先案内人”のガイドを入れたりしました」
同時に、そのころ世の中は、誰もがGoogleで情報を検索するようになっていた。
「しかし、Googleなどの検索では、どうしても行き当たらない情報もあるんです。たとえば、今週末になにか面白い映画がないか……どこかで西洋絵画のいい美術展を見たい‥‥と思っても、具体的な作品名や美術館名がわからないと、検索のしようがない。Googleは、いわゆる“あいまいな検索”は、得意じゃないんですね。そこで、情報の選択方法は、ネットだけではないのでは……と、前からなんとなく感じていたんです。」
そこで、むかしながらのアナログ的な考え方が、よみがえってきた。
「つまり、出会いの方法として、ネットと同時に“紙”もあってよいのではないか、と。“紙”のほうが、パラパラとめくってなにかいい映画がないかと探すのには、向いています。幸い、チケットぴあの会員数は2000万人超、ぴあカード会員数は40万人、そしてアプリ版のダウンロード数も200万人超くらいまできました。それらに、“紙”からすぐにアクセスできるようにすればよい。つまり、まず情報を“紙”で選び、そこからQRコードで、さらに詳しい情報やチケット購入へ『とぶ!』雑誌にしたのです」
「ぴあ」が「とぶ!ぴあ」と題して新装刊した際、「とぶ!」とはどういう意味かと不思議に思った方もいるだろう。つまり「とぶ!ぴあ」は、以前の「ぴあ」とは少々ちがい、あくまで“入口”として、作品名やイベント名が、最低限の紹介文で並んでいる雑誌なのだ。(水先案内人の「私の“イチ”推し」などのコラムも多くある)。興味を抱き、劇場やタイムテーブルが知りたければ、そこからQRコードで「とぶ!」のである。
「とぶ!ぴあ」があつかうのは、〈MOVIE〉〈STAGE〉〈ART〉〈CLASSIC〉〈MUSIC〉の5ジャンルである。美術(ART)とクラシック音楽(CLASSIC)を大きく扱っているのが特徴だ。
「やはり、エンタテインメントは、この5ジャンルがベースだと思うんですよ。それぞれのなかに、さらにいろんなエンタメが詰まっている。たとえば〈STAGE〉には新劇もあれば歌舞伎もある。〈CLASSIC〉にはピアノ・リサイタルもあればオペラもある。これらも偶然の出会いです。意外と狭いジャンルにとどまるのでなく、もっと広く接してほしいという気持ちもあります」
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