「酒もタバコもやらないのに…」 心筋梗塞になった血管外科医が明かす「油断」 「毎日のように肉や甘い物を」

ドクター新潮 ライフ

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「気付くこと」と「動くこと」

 自身の経験を自戒を込めて振り返ると、症状が現れず、なんの問題もないと心臓に自信を持ってしまっていたと思う。例えば、歯がよほど痛かったりしない限り、歯医者には行かない方も多いだろう。心臓も同じである。まずは健康診断を定期的にしっかりと受け、異常が見つかれば早めに病院で診てもらうことが肝心だ。特に、リスクファクターが重なっている方は、症状がなくても定期的に健康診断を必ず受けてほしい。

 病院嫌いで、多少の不調では来院をちゅうちょされる方もいるかもしれない。しかし、不調を感じたらすぐに病院で診察を受ける方が軽く済む場合が多い。重度の場合、一刻を争うこともある。1時間、2時間と胸やみぞおちの痛みが続くようであれば、迷わず救急車を呼ぶか、救急安心センターに電話してほしい。治療が遅ければ予後が悪くなる場合もあるからだ。

 数十年前と比べ、心筋梗塞による死亡率は8割以上も低下している。救急カテーテル治療や薬物療法の進歩がもたらした成果だ。つまり、心筋梗塞は「気付いて、すぐ動けば、治せる病気」になりつつある。問題は日々の生活習慣がいかに大事かに「気付くこと」と、検査で異常が見つかったり不調が出たらすぐに治療に向けて「動くこと」だ。心筋梗塞が本格的に増え始めるのは40代~50代からで、男性では60代~70代がピークである。本誌(「週刊新潮」)をお読みになる方の多くが、まさにその「危険ゾーン」にいると言っても過言ではない。

 油断大敵――血管外科医である私自身への戒めとともに、この言葉を読者の皆さんにも贈りたい。

畠山卓弥(はたけやまたくや)
1957年宮城県生まれ。東京大学医学部卒業後、研修医として同大学医学部附属病院に勤務。心臓以外の血管手術を主に行う。日立総合病院、三楽病院勤務を経て、清湘会記念病院では院長に就任。2017年、透析シャントの検査や治療を専門とする亀戸畠山クリニックを開設した。

週刊新潮 2026年4月23日号掲載

特別読物「心疾患で命を落とす日本人は年間23万人 『医者の不養生』と『油断』のせいで… 心筋梗塞になった『血管外科医』が語る“教訓”」より

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